②茅森のリーチの信頼度。
「オーラストップ目のリーチに役あり存在せず」という考え方がある。
これは私がトップ目の方針として述べた
「役ありの手を組んで、ヤミテンや仕掛けてのアガリを目指す」
の派生で、トップ目なら役があればヤミテンに構えることが多く、したがってリーチが来るということは役がないパターンがよくあるということだ。
だが、渋川は
「茅森が70000点台で、局収支に忠実に動いている可能性」
すなわち
「役ありのリーチが飛んできている可能性」
にも考慮を入れているのだ。
そうなると茅森のリーチは、信頼度が途端に上がる。
しかも、一応トップ目ということもあって、愚形待ちの可能性は少し下がっているだろう。
つまりここで茅森に放銃でもしたら、3着どころかラスまで転落してしまうかもしれない。
それならリスクを最大限回避して、でもヤミテンにするべきか…?
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…いや、さすがにこれは3メンチャン。2着率のアップもあるし、何よりこの手は満貫や跳満まで見えるド勝負手。
そもそも降りるような手牌でもない。
渋川は腹をくくってリーチを敢行するが、
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勝者は茅森。この局の加点を最大化することに成功した。
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テンパイを入れていた勝又も、開けられた茅森の手を見て頷いていた。
役あり、それも両面の手が出てくる可能性が高いことを、勝又も織り込み済みだったのかもしれない。
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茅森は、結局オーラスもピンフ高めドラ1のテンパイでリーチに向かい、
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後がなくなった勝又からを一発で捕らえ、
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裏が乗って8000点。これをヤミテンにしたときと比べて、7000点の得だ。
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この半荘、茅森は85700点の大トップ。
表示されたポイントは実に+105.7、あまり見ることはない3ケタ表示だ。
このポイントを稼ぐためには30000点のトップ2回分が必要で、10000点の4着を2回引いてもまだお釣りが来る、そんな大きな大きなポイントだ。
この半荘を正直に申し上げると、茅森は常に手が入り続け、とんでもなくツイていたと思う。
だが、それはあくまでトップを取るという意味においてはというお話。
皆さんはこの半荘を85700点で終えることが出来ていただろうか?
茅森は、与えられた手牌を全て最大打点でアガリ、素点を稼ぎ切ったと言って過言ではない。
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そうしてコツコツ稼いだポイントは、いつか必ず活きてくる。
残り20戦、レギュラーシーズンの通過がかなり安泰なフェニックス。
次のステージまで見据えて、ポイントを伸ばす戦いは続いていく。