を暗槓して
を引き入れた、親番寿人がやってきた。
待ちは。当然のリーチだ。

そしてこちらも、当然オリない渋川。
全力で押していく。
渋川も分かっているのだ。これが、最後のチャンスだ、と。

寿人から新ドラのが放たれる。
これをチー。
テンパイだ。を切って、
と
のシャンポン待ち。
でアガれば12000。誰からアガっても、2着に浮上する。

枚数は不利。
それでも今日、散々味わってきた。
枚数ではなく、どこに積まれているかだけ。
最後の最後に、微笑んでくれれば、それで良い。
渋川の、執念の見逃しからの粘りは――


それでも、実を結ぶことはなかった。


前半の我慢、そして南場の親番できっちりと勝負手をものにし、見事なトップ。
これで雷電はボーダー争いを一歩リードする形に。

対して終始苦しかった渋川。
しかし、それでも随所に、覚悟の決まった麻雀を見せてくれた。
三色で打点を見据えた落とし。
逆転の可能性へ賭けた見逃し。
その挑戦の奇跡は、ファンの心にしっかりと焼き付いている。

第2試合では、堀が見事にリカバリートップを獲得。
これでまだ、サクラナイツは首の皮一枚繋がっている。
残り12試合。
渋川の出番は、また必ず来るだろう。

今日見せてくれた決死の闘牌が――次は花開くことを願って。
最高位戦日本プロ麻雀協会47期前期入会。麻雀プロ兼作家。
麻雀の面白さと、リアルな熱量を多くの人に伝えるため幅広く活動中。
Twitter:@Kotetsu_0924