500・1,000
点数以上に価値ある大きなアガリとなったのであった。
太にとっては、あまりにも痛恨の一局。
その流れがメンタルに影響したのかどうかは、本人にも分からないだろう。
ただ一つ言えるのはこの後、この日の対局の中で、視聴者のコメント欄がひときわ賑わいを見せた局が二つあったということだ。
最後に、その2局を紹介して締めくくりたい。
その①南3局1本場
いわゆる“全員集合”となりそうな、緊張感の漂うラス前の攻防。
その中で太が東城から2,600は2,900を出アガリした一局である。
このアガリに至るまでの、一つ目の分岐点。
それが、2巡目
ツモのところである。
皆さんは何を切りますか!?
太はここで
とした。
麻雀AIの判断は
を推奨。
ちなみに
か
を切ると7種22枚の受け入れ、
切りは6種19枚と何故か少ない方を選んでいるのが興味深い所。
もしかしたら、この場面は最終的な待ち枚数だったり、イーシャンテンからイーシャンテンの二次変化の方を強く評価しているのかもしれない。
更に次巡のテンパイ・シーン。
太はリーチに踏み切る選択。
醍醐の第一打目の
より、若干ながらソーズの場況が良いと言う判断で
切りとした。
AIも
切りリーチを第一候補としている。
もちろん“高打点に仕上げたい気持ちもあった”と振り返り配信の中で語っていたが、特に悪手と言うわけではなさそうだ。
その②南4局
ご覧の通り、“全員集合”となったオーラス。
4者が2万点前後にひしめき合う中、親番・太にとんでもない手が入った。
わずか4巡目でのテンパイ。しかし、赤・赤を抱えながら役なしカン
という悩ましい形。
しばし手牌を見つめると…
切りとした!
「一つ思考から抜けてましたね。それは、裏目の
を引いた時の手形です。フリテン![]()
になるか、![]()
![]()
になるかを考えると、
の方が良かったかもしれません。」
冷静な分析の中にも、悔しさが滲んでいた。
ほんの一枚、たった一瞬。
そこに人間の“読み”と“迷い”が共存している。それはAIには映らない、感情の揺らぎ。
推奨バーは大きく
切りとなっていたこの一打──
この小さな差が、勝敗を分ける。
太は最終的にフリテンの![]()
待ちとなり。
そして、その隙を逃さず
醍醐が静かにタンヤオの仕掛けを入れる。
そしてやがて訪れる、あの深いツモの感覚。
指先に力を込め、そっと卓上へと牌を置く。
──忘れかけていた“勝ち”の感触を噛みしめるように。















