竜虎相打つ 多井隆晴と園田賢の卓内・卓外攻防戦【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 12/9 第2試合】担当記者 カイエ

ドラの【6マン】を持ってきて、多井の手が止まる。

園田3巡目の【4マン】切りから、これをまたぐドラは比較的通りそうだ。むしろ裏筋の【5マン】【8マン】が本命。ピンズがほぼ分断されており、索子も【5ソウ】【8ソウ】くらいしか残っていない。

多井が考えたのは、このあと山にいそうな【8マン】をツモったときにカン【7マン】待ちに受け替えするためにここで【3マン】を切っておく手はないかということだった。

結局、当たり牌候補の【8マン】を掴めば降りればいいし【2マン】は山にいるだろうということでドラ【6マン】をツモ切り【2マン】【5マン】待ち続行。

しかしここは園田のアガリ。【發】・ドラ1で1000オール。
これで3連続和了。少しずつトップの地固めに入っていく。

南2局1本場

オリジナル7のマッチアップは終らない。
まずはホンイツで仕掛けた園田が先制テンパイ。

カン【7ソウ】は2枚。
出アガリ5800点、ツモれば2600オールの加点は大きい。

茅森からもリーチの声。
親が落ち、ラス目の点棒状況。ツモれば満貫のカン【7ピン】は山に3枚。

多井はイーシャンテン。茅森のリーチは情報が乏しいものの、現物の【7ソウ】は園田の当たり牌。その園田は直前に【8マン】を勝負している。【9ピン】はリーチに通っていない。
守備型の多井の何切るであれば、穏当な【8マン】トイツ落としで迂回かと思われたが。

【9ピン】を静かに押した。
解説の藤崎智(日本プロ麻雀連盟)も「ずいぶん強く行きましたねえ」と驚く一打。
戦前から「打倒・永井」を意識していたという多井。チームのためにもトップが欲しい。

一牌勝負のご褒美かのような最高の入り目で、多井も追っかけリーチ。素晴らしい攻めだ。
【5ピン】【8ピン】は山に2枚。

しかし「ツモ」の声は茅森。
リーチ・ツモ・タンヤオ・赤。2000-4000のアガリ。
茅森とてMリーグ8年目のオリジナルメンバー。大型新人を前に意地を見せる。これでラス抜け。

南3局1本場

親番の多井の手は早くもテンパイ。しかしペンカン【3マン】と待ちは最悪。
まだ4巡目で。

ここは【7マン】切りが参考にすべきセオリー。
マンズの【1マン】【2マン】【2マン】【3マン】【4マン】の部分は頭ができやすいかたちで、こうしておくとマンズは9種、どれが来てもテンパイ。しかも【7マン】【8マン】以外は、すべてリャンメン以上(亜両面を含む)の良形テンパイにとれる。将棋で言う「倣いある手筋」だ。

すると最高の入り目である【赤5マン】を引き入れ、即リーチ。
【6マン】【9マン】待ちは山に5枚の自信作。手応えあり。

難なくこれをツモアガり、リーチ・ツモ・赤・ドラで4000オール。
気合いが入りすぎて本場の申告を忘れかけ、変な声色の点数申告になったのはご愛嬌。
これで他を突き放し、勝負あった。

南4局

オーラスも多井がウイニングランのような好配牌・好ツモで、ラス親の永井から【5マン】を討ち取り、タンヤオピンフ・赤赤は8000点でフィニッシュ。

最後の放銃で今期2度目のハコ下を喫してしまった永井。今日は全く、成す術がなかった。

むろん、麻雀にはこんな日もある。
何より多井に意識させただけでも偉業。
ずっと挑戦者の立場だった男が、王者の風格で迎え撃つような立場になっていたのだ。
謙虚な本人にはそのつもりは微塵もなかっただろうが、周囲がそのような図式で見るほどに、永井旋風は吹き溢れていた。ようやく収まったかと胸を撫で下ろしている他チームファンも少なくないだろう。

2度目の4連勝チャレンジは成就せずとも、また積み上げていくだけ。
個人ポイントも未だ400Pをキープ。リベンジを誓う。

そして始まる、独演競演会。

 

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