黒沢咲、門前の輝き再び
文・喜多剛士【木曜担当ライター】2025年12月11日
昨日、浅井堂岐(セガサミーフェニックス)の脳血管疾患に関するニュースが報じられた。 放送冒頭では、家族のSNSを通じて伝えられた近況が紹介され、知らなかった視聴者には驚きが広がったことだろう。 一日も早い回復を、心から願いたい。
そして迎えた今日の一戦。 それぞれの思いを背負い、卓上に集った4人の選手たち。
東家・石井一馬(EARTH JETS)。
個人スコアは+230.6と絶好調。 現在個人2位につける男が、エースとしての存在感をさらに際立たせる一局となるか。
南家・黒沢咲(TEAM RAIDEN/雷電)。
今季は副露やダマを織り交ぜた柔軟な打ち回しが光る。 個人3勝目を目指し、静かに闘志を燃やす。
西家・岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)。
スコアは▲99.4。チームも5戦連続の逆連対が続く中、ここは何としても流れを断ち切りたい一戦。 最下位に沈むチームにとって、この踏ん張りが後半戦への浮上の鍵となる。
北家・小林剛(U-NEXT Pirates)。
チームが大きく沈んだ後、じわじわと持ち直し、ついにプラス目前。個人成績も現在▲39.6。今日の試合、“船長”が勝利を掴めば、再浮上へ向けた反撃の幕が上がる。
第1試合
東家:石井一馬(EARTH JETS)
南家:黒沢咲(TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:小林剛(U-NEXT Pirates)
東1局1本場
東1局は親の一馬が岡田のドラポンを交わして1300allをアガって迎えた東1局1本場。
今季は副露やダマを織り交ぜた柔軟なスタイルが特徴の黒沢。 この手をどのように仕上げていくのか、静かに注目が集まる。
一方、小林剛の手牌には索子が色濃く集まり、一色手とチートイツの両天秤。
を引き入れた場面で、
、
と選択があるが選んだのは
。 一見、
は一色手にもチートイツにも有効に見えるが、チートイツのイーシャンテンを維持するには、
・
・
・
の4種から1枚を選ぶ必要がある。 すべて3種9枚でチートイツのイーシャンテンを維持できる状況なら、チートイツとして優秀な
や、面子手への移行時にも機能する
・
を残すのが自然だ。 一方で、一色手に向かう
切りはリャンシャンテン戻しとなり、副露しても形が苦しくなる。 そうした中で、チートイツを維持しつつ、機能しにくい
を適格に選んで切る判断は見事な一打と言える。
親の石井はタンヤオ三色のイーシャンテンから、2枚目の
を小林からチー。
門前で進めたい気持ちを抑え、678の三色を見据えて打
。
高目三色の5800テンパイを入れる。
しかし、ここで黒沢に絶好の
が入る。
-
-
の三面張でリーチ。 赤・ドラがあり打点も待ちも申し分ない。
小林はここで
を引き入れる。 リーチをかけている黒沢の現物に
が2枚あるが、
石井は![]()
![]()
から、
を![]()
のカンチャンでチーして打
。 安全度の観点から外側を切るためのカンチャン受けなら理解できるが、
を切っているということは、678の構成に意味があると読むのが自然だ。 つまり、石井の手には678の三色が絡んでいる可能性が高く、
の危険度が高い。
小林は
を避け、2軒に対して現物の
を選んで打ち出す。 状況を的確に読み切った、堅実な一打だ。














