園田賢 卓上の魔術師たる所以 我々の知らないチー【Mリーグ2026-27 観戦記 9/24 第2試合(麻雀2ch)】担当記者 黒田瑛太郎

園田賢
卓上の魔術師たる所以
我々の知らないチー

文・黒田瑛太郎【木曜担当ライター】2026年9月24日

第2試合

東家:二階堂亜樹(EX風林火山)
南家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
西家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:園田賢(赤坂ドリブンズ)

麻雀には鳴き、副露と呼ばれるものがある。多くの場合それは自身の手を進め、アガリに向かうために用いられ、特殊な場合ではリーチ者の一発を消したり、誰かの海底ツモを防ぐためにその順番をずらしたりするために行われることがある。しかしこの男、園田賢はそんな認識からいくらか外れた、所謂教科書には載っていない鳴きをしばしば使ってくる。そんな園田節が遺憾無く発揮されたのがこの試合である。

まず取り上げるのが東3局の出来事だ。この局はこのような点数状況で幕を開けた。


親の伊達はドラ含みの2メンツと両面1つ、さらに雀頭とくっつきに優秀な中張牌がそろい、678の3色まで見える二向聴の好配牌だ。

一方現在トップ目の仲林には伊達ほど良くはないが、【發】が対子の動ける手が入る。


好配牌の伊達から切られた【發】をすかさずポン。局を進めにかかる。

その裏で伊達は【6ピン】を引き入れ明確にサンショクの見える両面両面の一向聴に。


しかしここで園田が切り出した【4ピン】に声をかける仲林。


【赤5マン】を切り【4ソウ】【6ピン】のシャンポン聴牌だ。


ところが同巡、伊達から満を持しての【5マン】–【8マン】リーチが入る。引き入れた【5ピン】は安目ながらもドラ1内蔵の平和聴牌は勝負手と言えよう。

【8ピン】をツモり、【3ピン】–【6ピン】が無い分【6ピン】を打ち出してカン【7ピン】へと移行する仲林。手牌が短く現物も足りないため、押さざるを得ない状況だ。


さらに当たり牌の【5マン】を掴まされるが、そろそろ降り切れるということで前巡に通った【8ピン】を切り迂回することに。ここで摩訶不思議なことが起こる。


リーチの伊達がツモ切る【7ソウ】、これを見た園田の時間が止まったのだ。画像を見て頂けば分かるように園田の手はご覧の有様である。まず聴牌には巡目が足りずに向かえない。では海底は誰かと言うと、亜樹である。これをチーすると海底は仲林のもとへずれ込む。見ている人が頭にクエスチョンマークを浮かべていると、

数秒の逡巡の末チー。これを解説するのも楽な仕事では無いなと思った。解説でも触れられていたが、思うにここにきての仲林の手出しを見て、手詰まりを起こしていると予想した園田は少しでも仲林に失点させようと、あえて仲林に海底を回したのだろう。結果は【5マン】に【3マン】をくっつけて聴牌に滑り込んだ仲林と伊達の2人聴牌の流局となったが、できることを全部やるドリブンズのイズムをふんだんに盛り込んだ面白いチーであった。

次に取り上げる南2局はこの様な点数状況で迎えることになった。

伊達に風当たりの強い展開が続き、箱下に沈んでしまっている。ラスをひとまず押し付けさせてもらって、残る3人で危なげなくトップ争いをしたいのが他3人の思惑といったところか。


ここでまずは園田の配牌を見ておこう。とてもでは無いが、もう今から降り始めたいようなそんな手だ。

一方トップ目の亜樹には自風の【北】が対子の、おあつらえ向きに軽い手が入る。


親番の仲林の切った【北】をポンし順調に手を進めていく。


カン【7マン】と【1ソウ】–【4ソウ】の一向聴だ。あまりに手が悪い園田のアシストも受けられそうでアガリも時間の問題かのように思える。


ネックだったカン【7マン】は【4マン】–【7マン】へと変化し、園田が鳴かせにいった【4ソウ】をチーし、難なく聴牌を入れる。

しかし何とか追いつく伊達、筒子の染め手への以降もちらつくが、これ以上亜樹に好きに打たせる訳にもいかないので、押さえつけも込みでカン【6ソウ】リーチへと踏み切る。ツモって裏が乗れば満貫だし、昨今のMリーグでは流行りの裏3なんてものが見られた日には一気に3000-6000の大物手に化ける。

ここでもう一度園田の手を確認しておこう。リーチを受けて一発目の手牌がこの有様だ。とてもここから何か出来るような状況ではない。


さらに親番の仲林にもカン【6ソウ】待ちのチーテンが入る。点数的にライバルと言える親の連荘は園田からしたら芳しくない。しかし自分はあの手牌だ。何か出来ることはあるだろうか。そう必死に考えたことだろう。

あろうことかこの手から、伊達が切った【赤5ピン】をチーしたのだ。とても聴牌を目指しているようには見えない。海底を誰かにずらすにもまだ巡目が早い。ではこのチーはなんなのか。まず園田が考えたこと、それは亜樹になるべく頑張ってもらって、安手でアガってもらう、あるいは亜樹を伊達に放銃させることだったのだろう。自分が何も出来ない手格好である以上自然な考えだ。そのためには、伊達のリーチにも仲林の副露にもある程度押してもらう必要が出てくる。ここで少しでも亜樹が押しやすく、なるべく多くのヒントを与えておこうという考えのもと行われたチーだったのではないかということだ。つまりチーによって【6ピン】【7ピン】を晒すことで、少しでも多くの牌を見せ、亜樹に情報を与えようとしていたと思われる。自分で考えたように書いたが、ここだけの話、解説の受け売りである。2回目になるが、これを解説するのも楽な仕事ではないなと思った。

結果伊達が【4マン】を掴み、園田の目論見通り亜樹のアガリ。

その後は順位変動がなく、試合は亜樹のトップで終了、園田は3着で試合を終えた。

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