エースの真価は
勝てない時にこそ問われる
──石井一馬と
エーシーズ(AA)──
文・小林正和【金曜担当ライター】2026年11月6日
第2試合
東家:醍醐大(セガサミーフェニックス)
南家:石井一馬(EARTH JETS)
西家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
北家:勝又健志(EX風林火山)
人は、自分がかけた言葉に救われることがあるのだろうか。
昨シーズン、チームが苦しむ中で、個人では最多トップを争うほど勝ち続けた一人のエース。だが、彼は自分が勝つだけでは満足できなかった。
「このメンバーでずっとやっていきたい」
そして、苦しむ仲間たちには、こう言葉をかけたという。
「自分のマイナスをチームへの迷惑だと思わず打ってほしい」と。
しかし、一年後…。
その言葉を、誰よりも必要としていたのは、まさに自分自身だった。
今シーズン、積み重なったマイナスは180ポイント超え。かつて仲間に背負わせたくなかったものを、今度は自分が背負っている。
勝ちたい。
取り返したい。
チームの力になりたい。
だが、願うだけで上昇気流に乗れるほど、麻雀はそう甘くはないのだ。それでも、これまで積み重ねてきたものまで失うわけにはいかない。
【エース/ace】
もともとはトランプの「1」を表す札。転じて、その分野で最も優れた人を意味する。
チームの中心となり、最も頼りにされる存在。だが、その定義だけでは語れないものがある。
強い人間だって焦る。
誰かを支えてきた人間だって、苦しむ。
そして、ときには自分自身が救われたいと思うこともあるだろう。
それでも、卓へと向かっていく。
エースの真価が問われるのは、勝っているときではない。
勝てなくなった、その時だ──。
勝てないエース──四面楚歌の洗礼──
【手なり/tenari】
持っている牌に合わせて、無理に役を狙わず、自然な形で手を進めること。
誰にも邪魔されることなく、誰よりも早く、誰よりも高くアガる。それは、ある意味で麻雀打ちが思い描く理想のひとつだろう。
東1局1本場
わずか3巡目。
本来は緑色だが、その赤く染まった
を引き入れ

「手なり」のリーチを放ったのは、同じ緑と赤をチームロゴに掲げる

EARTH JETS所属の石井一馬だった。
待ちは![]()
のリャンメンで山に5枚。
早い巡目での先制リーチで、これだけ枚数が残されていたら十分だ。サポーターも、久しぶりに訪れた絶好のチャンスに胸を躍らせたことだろう。
ところが…
まずは醍醐のもとに
が一枚。
続いて、
仲林のもとへアガリ牌が一枚ずつ流れていく。
これで残り3枚。
でも、まだ3枚ある。
ここで見方を変えて、最初から山に3枚だったと考えれば、決して悪い待ちではないだろう。












