熱論!Mリーグ【Mon】
タイトロープを華麗に渡る
園田賢のオーラス局の
「引き出し」
文・梶谷悠介【月曜担当ライター】2019年2月4日
大混戦である。
9割の試合数を消化してなお、2位の赤坂ドリブンズですらファイナルステージの当確ランプは灯っていない。これからの1戦1戦は重い。チームにとってその時最も勝てる選手をぶつけることになるだろう。
ここにきて赤坂ドリブンズは不調に見舞われていた。チームを救うべく託された選手は
会社から休みをもらって1戦目から登場の園田賢である。
果たして園田は任務を遂行することができるだろうか。
1回戦オーラス
オーラスをトップ目で迎えた園田。各選手との点差を確認しよう。
朝倉14600
亜樹22700
前原14300
まず大前提として3着落ちもあり得る親の前原への放銃は絶対に避けなければいけない。かといって守ってばかりいても前原の満貫ツモでまくられてしまう。消極策は取れない。
朝倉はどうだ。前原とは300差で3着だが、今回はドラが使いやすいだ。赤を絡めてチームポイント的にも跳満ツモのトップを狙ってくるかもしれない。ただし亜樹も満貫ツモで2着になれる。他家の状況と手牌次第では2着狙いにシフトすることもあるだろう。当然だが朝倉に満貫直撃されるのも避けるべきだ。
と、こうして考えると園田は朝倉と前原に絶対に打ち込めない立場にありながら、大人しくしているとそれはそれでまくられてしまうというとても不安定な立場にいることがわかる。
それを踏まえて上記の手。自分がアガるには少々厳しく見える。打としてスリムに構えた。
ここでは打としている。は前原と朝倉の現物で安全牌としては宝物のような存在だ。とペンチャン落としを見せて
をでチー、打。
この段階で役牌を重ねて自らアガリにいくという積極策を取ったわけではないと思う。狙いは、落としと両面チーを見せて自分の手が早いことを朝倉に向けてアピールすることだ。そうすることでトップは妥協するように仕向ける。
そういえば南3局でも同じ意図をした打牌があった。この手でドラの自風切り。手が整っているとアピールして朝倉や前原の早アガりを誘発する。
しかし皮肉にもこの鳴きで前原に絶好のカンが埋まってしまい、最も歓迎しないリーチを受けてしまう。
この宣言牌をなんとでチー、打とした。
絶対に放銃できない状況での一発消し。前原のリーチで朝倉の2着アガりに期待するのは難しくなった。そうなれば前原の打点を少しでも少なくしようという狙いだ。
園田のオペレーション・タイトロープが始まった。
前原の捨て牌は強い。絶対に放銃できないのは朝倉も同じ。安牌の尽きた朝倉も苦しい。
朝倉の選んだのは。のワンチャンスで2巡しのげる。
その後、亜樹は打、前原ツモ切りとして園田の手。
完全に安牌がない状態だ。園田は前原の早切りからカンが薄く2巡しのげる打とした。
この状況でトップ目から親リーに無筋を打たなければならない。一歩間違えれば谷底に急落下だ。
だが園田はタイトロープを渡りきった。最終手番でテンパイを入れ、なんとテンパイ料までもぎ取ってみせた。
このテンパイ料は大きい。朝倉は跳満ツモでもトップに届かず、前原も満貫出アガりは届かない。
最後はピンフドラ1を前原からアガり、見事トップを獲得することとなった。
2回戦オーラス
連戦となった園田。オーラスを迎えて2着の好位置につけている。
トップの寿人まで3500差、3着の石橋まで11600差だ。
この点差から導き出されるオーラスのテーマとは何か
それは『リーチをせず3900を作ること』である。