「高宮はもう出ないのか?」
というMリーグファンの言葉も本人に届いていたはずだ。
そして最終戦。
ついに高宮まりが登場した。
「待ってました!」
そう思ったのは私だけではないはずだ。
ここで冷静に考えてみよう。
3位・麻雀格闘倶楽部と4位・赤坂ドリブンズの差は74.5pt差。ドリブンズ1着、麻雀格闘倶楽部3着だと逆転される可能性がある。明日最終日に4位で終わると、明日まだ試合があるチームに逆転される可能性が強くなる。
高宮の仕事は
「ドリブンズ・園田」より上で終わることだ。
それで十分だ。
――本当に十分か?
十分じゃないに決まっているじゃないか。
彼女は数多のそしりを受けているはずだ。
「美人雀士」といわれ、仕事をしてきた。
その仕事を通じて「麻雀」に興味をもっていない人をこちらに振り向かせた功績はとても大きい。
でも今回ばかりは。
外見なんてどうでもいい。
ただ勝ちたい。1着でレギュラーシーズン最終戦を終える。
そして「高宮まり」の存在場所を作る。
誰よりも勝ちに飢えていたはずだ。
第2回戦は激しい戦いとなった。
東1局、高宮が萩原に満貫の先制パンチを打ったと思ったら、
東2局には逆に萩原が高宮に満貫のパンチを打つ。
東3局、東4局は、園田が萩原に連続放銃。
しかもどちらも裏ドラが3枚乗るという、園田にとって天を呪いたくなる展開となる。
高宮は慎重にかつ虎視眈々と上位を狙う。
テンパイする。
危険牌を持ってくる。テンパイ外し。
懸命に迂回。そして再びテンパイ。
また危険牌を持ってくる。育てた手牌に溺れず丁寧にオリる。放銃しないことが、育てた手牌への恩返しになる。
放銃ケアをしながら粘り強く攻めていく。
南1局3本場 供託1本 ドラ
松本がリーチをかける。
そこに持ち点4500点で苦しむ園田が粘りに粘って追っかけリーチ。
そして高宮の手牌からが放たれる。
それは松本のロン牌だ。
リーチ・チートイツ・赤。6400は7300点の放銃。
松本より親の園田には放銃したくない。園田のゲンブツ、を切り、それを松本に討ち取られた。
高宮は3着目と厳しい状態になる。
しかしそれ以上に園田が厳しい。勝負手が入るがなかなかツモれない。高宮の放銃は、結果、勝負手と虎の子の親を流すことになった。
南3局。高宮の親だ。
ここで加点してトップに行く。
高宮は流局で粘り、2本場となる。
もう一度言う。
園田の上で終わるのが目的ではない。
「勝つ」のが、私の目的だ。