普段は何パターンかを想定しておいて、もう1人の記者と被らないように気を遣うのだが、今回は1半荘めが終わるとすぐに「丸山さん書かせてください!」と予約したのだ(笑)
それくらい感動した。
これまでのMリーグの中でも1・2を争うくらい、魂を揺さぶられた半荘だった。
「ドリブンズの不安材料」と言われていた丸山奏子は、今夜「ドリブンズの希望の星」となって輝いた。
・オマケ
はたして、丸山プロの見逃しはやりすぎだったのかをここでざっくりと検証してみる。
見逃したときの状況はコチラ。
まず、アガった場合だが、裏が乗れば2着、裏が乗らないと3着である。
裏ドラの乗る確率を計算しやすいように1/3とすると得られる点棒は
1/3×(16000(アガリ点)+40000(順位点)+1600(積み棒・供託)=19200
2/3×(12000+20000+1600)=22400
合計で41600点。
つまり、ロンというだけで順位点コミコミで41600点もらえる計算になる。
では見逃した場合はどうだろうか。
これはの残り枚数によって大きく変わってくる。
見逃した時点でツモ番が残り9回。
仮にが山に3枚残っていたとしたら…
9回のうちにツモれる確率は約44%になる。
5枚しかない亜リャンメン待ちののうち、残り3枚という想定は多く見積もりすぎにみえるかもしれないが、場況を見てみると、多井の1打目に、滝沢の2打目にがある、そして寿人はそのものを切ってきたことを含め、このは「かなり場況がよい」牌と言うことができる。
平均を出すのは難しいが、3枚という想定は大きく離れてはいないと思う。
0.44×(16000+80000+1600)=42944
0.56×(1500(テンパイ料)=840
合計で43784点。
さきほどの計算が41600点だったから、見逃しが正解!
…とはならない。
43784点は、あくまでも最後までツモることができたら、という仮定である。
まっすぐ向かってくる寿人に返り討ちに合うかもしれないし、オリる想定だった多井や滝沢にひょっこりアガられてもおかしくない。その場合は失点として計上しなくてはならない。43784点からは大きく減らす必要がある。
つまり、トータルで見逃しは損、と結論づけることができる。
しかし、これが残り4枚と想定を甘くするとツモ率は約54%となり、期待獲得点棒は53544点と大幅に上昇する。これならば途中で他家のアガリで決着するマイナスを吸収できるかもしれない。順位点としては失うものがないので、マイナスは限定的だ。
(例・平均残りツモ6回・4枚で49%→47824点)
いろいろ書いてややこしくなってしまったが、おそらく、残り3枚想定なら損、残り4枚想定なら得…となる。
4枚と想定するのはかなり甘い気もするが、こういった計算もしないで
「やりすぎ!」
と言ったり
「魅せる麻雀さいっこぅ!」
というのは、個々の自由だし、実はそういった楽しみ方をするファンの方が大切なのかもな…と感じる昨今ではあるのだが、理論的には間違っているということを付記しておこう。
実際に麻雀を打ちながら上記の複雑な計算をするのは不可能だ。
現実では軽い計算とざっくりとした感覚で瞬間的に判断していくしか無い。
だからいずれの判断をしたとしても、打ち手を責めることはできない。
確実に言えることは、丸山プロがこの選択によって、多大なる感動をチームやファンに届けたということだろう。
雀士・丸山奏子のプロフィール紹介
→丸山奏子、Mリーグのシンデレラ
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」