無理やりメリットを探すなら…
・手出しを入れることによってテンパイ濃厚と思わせる
・注目を浴びているのだけにフリテンのチーが容易にできそう
・をテンパイまで抱え続けるのは危険
・どうせやなんてチーさせてもらない
こんなところだろうか。
こういうのを見ると効率重視の打ち手は信じられないと感じる一方で、一緒に打つ人からすると何を考えているのか全くわからない、となって評価が二分しているのだ。
この選択の犠牲者となったのは近藤だ。
近藤の個人成績は堅実だが、チームの状態が悪く-199.2pt。昨年、足切りの屈辱を味わったからこそ、今季の「リベンジ」に燃えている。
さて、沢崎はその後自力で…
、とツモって待ちの親マンテンパイ。
それを受けた近藤の手牌は
こう。ドラのを切ればテンパイだ。
沢崎の捨て牌を睨む近藤。
→→→と出てきている。何やっているのか全くわからない。
吸い込まれるように飛び込んでしまった。
の切り出しがもう少し遅かったら、近藤もを止めたと推測する。
ただ、沢崎はあそこで普通にを切っていたとしても、普通に4000オールをツモっている。
このように惑わせるようなことを続けているので「沢崎さんは何をやっているのかわからない」と同卓者は口を揃えるのだろう。
2本場で2000オールをツモり、気分良く迎えた3本場。
東2局3本場。
沢崎はペンをチーして、この形。
園田のリーチを受けて、一発目は現物のを切る。トップ目で無駄な放銃は避けたい場面だ。
「さすがの沢崎もここまでか?」
と小林未沙も実況する。
「さっき言わなかったか?ワシは…」
「親番で背を向けねぇ!」
をポンしてをプッシュ!
さらに・とプッシュして…
をツモってテンパイ、当然のプッシュ!
その後も当然押し続け…
園田からダブで12900のアガリ。
これで60000点台になった。今年何度も見てきた沢崎劇場だ。
やはりというか、それでも沢崎は一切手を緩めない。
東2局4本場。
今度は対面の近藤プロのリーチを受けてのイーシャンテン。
いや、イーシャンテンとは言っても、テンパイしにくいチートイツで、なおかつもう3段目だ。さすがにもうここは筋のをトイツ落としするかと思いきや、
無筋のをプッシュ!
この局は近藤がマンガンをツモったが、この一連の押しを見て、沢崎がいかに親番を大切にしているかがわかるだろう。
親はオリてもツモられてしまえば、親被りでの損失が大きい。例えば相手のリーチ・タンヤオ・ドラ1の手に放銃すると5200点だが、ツモられても4000点支払うわけだ。そんなに変わらないどころか、相手との点差だけで見ると放銃したほうが小さい。その一方でアガれば1.5倍の収入を得ることができ、なおかつ連チャンできる。極端な言い方をすると、親番はノーリスクハイリターンのチートモードだと言える。
そんなことは誰もがわかっていることだが、それにしてもここまで踏み込めるだろうか。
サクラナイツのチームメイトである内川幸太郎や岡田紗佳が、トップ目に立つと親番でもやや消極的な打ち回しを見せているのと対称的だ。親分が行動で道を示しているようにも見える。
この獅子奮迅の押しを見ているだけに、その後の繊細さが際立った。
東3局。
園田のリーチを受けた沢崎。ドラが3枚あるこの手、1枚切れのを掴んで…