「追っかけリーチを打っていたら8000の放銃でした」
と、自身が冷静に打てた場面を振り返っていた。
冷静沈着な様子は、さすがに場数を踏んできたベテラン、と言ったところか。
「今回はよく打てたと思います。決勝に向けては、頑張るしかないですね」
心身共に充実した、ベテランプロの貫禄に触れた瞬間だったと思う。
■C卓
女流プレミアトーナメント代表 水口美香
全日本プロ代表 仲林圭
現最強位 近藤誠一
十段位 伊藤優孝
C卓でまず話を聞いたのは、最強位、近藤誠一プロ。
第一声が
「気合いで連覇します」
まさに「連覇野郎」の異名通りのコメントである。
「相手の勢いを上回る勢いでぶっ潰したい」
「ひるまず勝負する」
近藤プロが発する言葉の数々は、自身が大切にする攻撃的な姿勢を自分自身に言い聞かせているようにも聞こえた。
一方、対照的な言葉を発していたのが伊藤優孝プロだ。
「勝つか負けるかは本当にわからないね、やってみないと。何しろ、27年前だから、最強位とったのも。27年ぶりにここにでられて、勝つか負けるか分からないけど、いい思い出になると思います。(笑)だってもう70だから」
見た目も含め、まさに「老紳士」といった感じだ。
しかし、この戦いの直前では自団体で降級濃厚なところから、まさかの4連勝で残留を決めるという離れ業を演じたほどの方だ。
老雄なお健在、というところを見せてくれそうな雰囲気はあった。
対して、若手2人はどうか。
仲林プロは、
「一応、同卓者の動画は結構見てきました」
と、しっかりと対策をしてきたことを教えてくれた。
クセや押し引きのバランスなどを確認したかった、とのことだ。
その上で戦い方を変えるようなことはせず、
「楽しみたいですね。やれることをやるだけです」
と、この戦いへフラットな気持ちで臨む心境を語ってくれた。
水口プロは、2年前の最強戦ファイナル以来の出場。
その時に見せたオーラスの大連荘は、記憶に残っている方も多いのではないだろうか。
「今日もあのときと同じ北家を引いたので、これは一昨年のリベンジだと思いました。今年もまた一昨年のような粘りが見せられたらいいなと思います」
ちなみに、この連荘でも最終的にトップは取れず、金本実行委員長に「無駄な連荘」と言われたそうで
「今回もやってやろうと思っています」
と、あの美しい笑顔で話してくれた。
水口プロが狙った連荘は、今年は実現できなかった。
試合後は
「オーラスはテンパイできなさそうだったので、形テンを狙って鳴いたんですけど、もう少し粘れば良かったですね」
と反省の弁を口にする。
消化不良で終わったということだが、この経験が今戦っている女流雀王決定戦や、その後の戦いに生きることを期待したい。
仲林プロは、他の初出場選手に比べて緊張がなく、フラットな様子で打てているように見えた。
最終的は近藤プロの後塵を拝したものの、一時は満貫を直撃させて試合の行方を分からなくさせるなど、試合を盛り上げたことは間違いない。
特に解説陣にも絶賛された南1局の押しについては、水口プロのノーテンを見切っていたことはもちろん、「の順番じゃなくの順番だったのは、ポンのとのシャンポンというより、ポンのカンの方がケースとして多いので、から切りました。あそこは自分の中でもいい麻雀だったと思います」
と、自身の麻雀を誇っていた。
伊藤プロは、この戦いで自身のツキを感じられなかったという。
結果的に近藤プロがツモったフリテンリーチについては
「紙一重だったね。俺がをポンとかしたからツモられちゃったんだよ」
と、自身の判断を悔いていた。
「らしくはなかったかな。やはり、近藤プロが強かった」
と試合を振り返ってくれたが、その麻雀にはやはり、独特の雰囲気があった。
この卓を制した近藤プロは、開口一番
「なかなか難しかったですね」
と語った。
フリテンリーチは
「枚数の多いほうを」
という選択の結果。
実際にはかなり薄い待ちではあったが、それをきっちりツモりあげるのが最強位の力、といったところか。
あと一勝で、連覇。