藤崎智が最後に見せた、奇跡への可能性と『格闘魂』【熱論!Mリーグ】担当記者:東川亮

熱論!Mリーグ【Tue】

藤崎智が最後に見せた、

奇跡への可能性と

『格闘魂』

文・東川亮/2020年3月31日

3/31、今シーズンから導入された「Mリーグ2019 朝日新聞セミファイナルシリーズ」は最終日を迎えた。

この日の試合を終え、上位に残った4チームが4/13から始まるファイナルシリーズを戦うこととなる。

前日の結果を受け、ファイナル進出は

KADOKAWAサクラナイツ

セガサミーフェニックス

渋谷ABEMAS

U-NEXT Pirates

の4チームで決まったかに思えた。

最終日を戦う6位・KONAMI麻雀格闘倶楽部は、2連勝した上で10万点以上の素点を稼ぐ必要があるが、はっきりいってこれは非現実的な条件に思える。

ゆえにこの日の試合を「ファイナル前哨戦」と考えていた人は多かったかもしれない。

かくいう筆者が、そうだった。

初戦は、麻雀格闘倶楽部高宮まりがトップを獲得。

しかし素点を大きく稼ぐには至らず、最終戦、麻雀格闘倶楽部のファイナル進出のためには、120700点のトップが必要となった。

いくらなんでも、実現できるとは思えない。

最終戦に起用された藤崎智の名前を見て、筆者は率直に「結果はともかく、最後に1試合ずつ全員を起用する考えなのか」という印象を抱いた。

己の浅はかな考えを恥じ、ここにお詫びする。

第2回戦

東家:和久津晶セガサミーフェニックス

南家:内川幸太郎サクラナイツ

西家:藤崎智麻雀格闘倶楽部

北家:日向藍子渋谷ABEMAS

東1局

7巡目、内川がペン待ちでテンパイ。

この時点で藤崎の手はメンツが1つ、出遅れ感は否めない。

だが、ここからのツモが利いた。

と有効牌を重ねると、

14巡目にはまで引き入れ、ヤミテンで出アガリハネ満、ツモって倍満という大物手になった。

そして次のツモに衝撃が走る。

なんとツモり四暗刻テンパイ。藤崎はこれをヤミテンに構えた。

素点が必要な状況だし、どうせオリないならリーチしてもいいじゃないか、という人がいるかもしれない。

出アガリでも、リーチしておけば裏ドラが乗ってさらに高くなる、という考えの人もいるだろう。

ただ、あくまでもそれは可能性の話。

もし藤崎がこの手をリーチをすれば、出アガリはほぼ期待できなくなる。

120700点以上のトップが必要という藤崎のミッションを考えれば、子方での藤崎のリーチが安いはずがないからだ。

ヤミテンでもツモれば役満、出アガリでも16000と打点は十分で、アガリそのものの価値が非常に大きい。

そうしたリアルを見つめたからこその、藤崎の「忍び」だ。

 

山にはが1枚残っていたが、結果はチートイツのテンパイを入れていた和久津への2400放銃。

しかし後から思えば、これは嵐の予兆だった。

東1局2本場

藤崎の手牌には赤含みのメンツが二つ、ドラも使えそうな勝負形だ。

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