熱論Mリーグ【FS2日目】
運命をねじ曲げろ!
Pirates・瑞原明奈に
立ちはだかる壁
文・ZERO【火曜担当ライター】2020年6月16日
運命が変わった。
と言っていいと思う。
新生ウイルスの猛威により、人々の生活模様は一変。
表情はマスクに殺され、人が人を疑うようになり、世界は闇に包まれた。
そして、Mリーグのファイナルも延期。
サポーターの、燃え上がってきた炎が消えてしまったかのようだ。
選手たちも、これまでと違う環境に戸惑っただろう。
これからどうなるかという不安を前に、麻雀に打ち込む余裕のなかった選手も多いかもしれない。
ブランクを乗り越え、これまで通りの勝負勘で打てるチームが勝ちやすいと推測する。
いずれにせよ世界線は変わった。
優勝チームも本来とは変わっているだろう。
いや、本来というものなんてないのかもしれない。
もともと運命とは変わっていくものだ。
条件はみな同じ。
約束された未来なんて、ない。
この日の1戦目、勇ましい表情で瑞原明奈が登場した。
瑞原の所属するU-NEXT Piratesは、コロナの波をうまく乗り切ったチームと言える。
ファイナルの延期が発表された直後に、4人はオンライン麻雀「天鳳」を使って練習していた。
この瑞原に関しても、4人の練習とは別に「天鳳」の最上位卓に何度も現れた。
私も何回か同卓した記憶がある。
調べてみたら
この自粛中に、かなりの頻度で打っていることがわかった。
「天鳳」はシステムが大きく違うものの、Mリーグと同じ赤入り麻雀がメイン。
感覚を維持するために日々麻雀に触れていたのだと思う。
そんな瑞原の親番で、この日の戦いは始まった。
1戦目
東家 瑞原明奈(U-NEXT Pirates)
南家 近藤誠一(セガサミーフェニックス)
をツモってこの形。瑞原は間髪入れずにドラのを場に放つ。
この形はツモのピンフだけではなく、ツモで高め三色になる、非常に強い形だ。
それにしても、これだけ素早く堂々とドラの役牌を切れるのは、練習のたまものだと思う。麻雀勘は全く衰えていない。
周りもこのドラ切りに大きなプレッシャーを感じたはずだ。
そんな瑞原の気迫に呼応するかのように
すぐにテンパイが入る!
を切るとピンフイーペーコーが確定するが、を切ると高め三色になる。
瑞原の選択は…
打リーチ。
たしかには狙い目なのだが、マンガン確定の方が偉いだろう。
そして何より、を切るのとを切るのとで、河の強さが違う。
をカンでチーされるだけで、もうやっちゃった感が出てしまうとも言える。