鈴木たろうにとっては必然!
別次元の思考で場を支配する
異端の手順
文・危険な鬼太郎【火曜担当ライター】2020年10月6日
私の観戦記ではMリーグを見始めて麻雀を覚えた!または、Mリーグを機に麻雀を再開した、という方たちに向けてわかりやすい観戦記を書きたいと思っている。解説でも語らないような当たり前な事も書いていくつもりなので、よろしくお願いしたい。
麻雀で勝つ為に重要な事は大まかに言えば二つだと思っている。
①先制リーチを貰ったら大体降りる(無筋を打つのはイーシャンテンから)
②とりあえず打点さえあればなんでもリーチを打つ事
たったこれだけの事を意識するだけでも麻雀で勝てるようになると私は思っている。でも、実際文章だけではどういう意味か分からない人も多いと思う。
そんな方にはぜひ鈴木たろうという雀士の麻雀を観てほしい。
【第2回戦】
南家:和久津晶(セガサミーフェニックス)
北家: 瑞原明奈(U-NEXTパイレーツ)
東1局 ドラ
鈴木たろうの配牌がいきなり厳しい
の暗刻で1メンツあるとはいえバラバラ。しかも手にはドラのがポツンと孤立してあるだけで打点が無い。
「打点」も「スピード」もどちらもない手牌。この手牌の形では流石にスピードを求めるのは厳しいので、ピンズのホンイツかドラのでメンツを作るかして打点を作りたい所。
5巡目になると鈴木たろうしか出来ない打牌を繰り出す。
あまりパッとしない手牌だが、テンパイを目指さないわけにも行かない。2枚切れのやを切るのかと思いきや…。
ここでなんと切り。手牌で唯一出来ているメンツを壊すという信じられない打牌をする。
「対面の親の白鳥の切り出しから遅い手牌ではないだろう。ここはを切ってあわよくば下家の瑞原を鳴かせてこの局を安く終わらせよう。瑞原が鳴かなければそのまま降りてしまえばいいんだ」
と、たろうは自らの打牌を語っていた。言われてみればたろうの言葉は最もに聞こえる。
おそらくたろうの手はアガれない。そう仮定した場合、最低なのが親の白鳥に連荘をされる事。だからこそ今の内に下家の瑞原に打牌のアシストをして安く局を進めようとしているのだ。
しかしもってたろうには白鳥に連荘される事の次に嫌な展開が訪れる。
和久津が仕掛けてタンヤオ赤3ドラドラの跳満のツモアガリ。たろうにしてみれば親番が流れた事は良かったが、跳満ツモは自身のトップを狙う為には痛すぎる失点だ。
東2局 ドラ
たろうが先制リーチを打つ
リーチ一盃口ドラ1の待ちだ。リーチせずとも5200の打点があるが、これはリーチしかありえない。
まずリーチして5200点が8000点になるのも大きいし、ツモって裏1で跳満まで見れるのも大きい。トップ目の和久津のオヤ被りも狙える。恐らくは東1局でも同様の手牌を貰っても即リーチを打ったはずだ。
たろうのリーチに瑞原や白鳥も立ち向かい、テンパイを目指すものの、テンパイしていないので無筋は切り切れず、
たろうの一人テンパイで流局。これもリーチの効力でもある。自身はツモって裏1で跳満の勝負手で、相手はリーチを恐れてまっすぐ攻め返してこない。出アガリの可能性は大きく減るが、相手のアガリやツモの確率を増やせるのでリーチは強い。
東4局 ドラ
たろうの手牌が良すぎる。
第一ツモでもうイーシャンテンだ。しかし解説の渋川は、
「たろうは絶対にをポンなんてしませんよ。を引いたらを対子落とししてテンパイを外すかもです」
と語った。を引けばとのシャンポンでリーチを打つことが出来るが、その時のの出アガリのリーチドラ1の2600点は余りにも安すぎる。この恵まれた手牌で2600点は余りにももったいない。
を引けば確定一盃口ででも最低打点が5200点になるのでリーチでもいいが、ここはを対子落とししてドラのでメンツを作り、跳満まで見たい所。
たろうは見事にを対子落とししてテンパイを入れ、リーチピンフドラドラ高目タンヤオのリーチを掛けた。をツモれば裏を見ずとも跳満だ。
これに親の瑞原が放銃。
安全牌が1枚もなく、親なので真っすぐ突き進んでの放銃。
リーチピンフドラドラの8000点のたろうのアガリ。東1局に跳満をツモった和久津の背後にビタリと付ける。
南1局はたろうの先制リーチに親番の白鳥が追っかけリーチをするものの
白鳥がをたろうに放銃してたろうの5200のアガリ。ついには和久津の逆転に成功する。
そしてついに決定打を繰り出す。