まさに「えげつない」死闘の結末…Mリーグは次なる未知のステージへ【熱論!Mリーグ】

熱論!Mリーグ【Tue】

まさに「えげつない」

死闘の結末…Mリーグは

次なる未知のステージへ

文・アホ東大(院)生【火曜担当ライター】2019年2月12日

 

10月1日から5ヶ月間、7チーム21人の選手が紡いできたレギュラーシーズンが2019年2月12日、幕を閉じた。開催70日目。最終日の試合前のチームランキングは、こちら。

ボーダー暫定4位の赤坂ドリブンズと暫定5位のU-NEXT Piratesのポイント差は、130.5ポイント。ボーダーと暫定6位のセガサミーフェニックスのポイント差は、175.3ポイント。この2チームがファイナルシリーズに駒を進めるには、パイレーツとフェニックスはトップ2連勝条件に素点が絡んでくる。

ボーダーのドリブンズは80戦を戦い終えているためトップラス条件はなく、パイレーツは平均素点45,300点、フェニックスは平均素点67,700点のトップ2連勝が必要だ。2着の場合、トップと40ポイント差がついてしまうため、先ほどの条件に40,000点がプラスされ、さらに厳しい条件になる。

U-NEXT Piratesとセガサミーフェニックスはどのようにトップを狙っていくのか。

そして、脚本のないMリーグレギュラーシーズンはどのように幕を閉じるのか。

第1回戦は、

滝沢和典 (EX風林火山)

茅森早香 (セガサミーフェニックス)

白鳥翔 (渋谷ABEMAS)

朝倉康心 (U-NEXT Pirates)

の対決だった。

<南4局0本場>

ファイナルシリーズに勝ち進むにはトップでなければならない親番の朝倉。

アガればトップの滝沢は、1枚目はスルーし、2枚目のをポン。

「ハンサムはみんな2枚目」

解説・土田の渾身のギャグも実況・小林には、1回目は華麗にスルーされる。

立て続けにもポン。他者からは、役牌、トイトイ、もしくはチャンタ系に見える仕掛けだ。

トップまで跳満ツモ条件の茅森もチートイツのイーシャンテン。滝沢に鳴かれてしまうをどちらもおさえてのチートイツ。

平均打点女王は、他者が安手でアガることは許さないのだ。

茅森に絞られ、滝沢がイーシャンテンでもたついているうちに、

親番の朝倉もを引きいれ間待ちのテンパイ。

ここで小考に入り、打のテンパイ外し。

仕掛けをいれている滝沢がテンパイであるとは限らず、の場況が良いことが要因か。

それに加えて裏目のを引いてしまってもピンズの一気通貫が見える。

この手牌を待ちの悪いリーチ赤で終わらせるのはもったいない。

アガリがなんとしても欲しいところでこのテンパイ外しは肝が据わっている。

急がば回れということか。

次巡、を持ってきて、打

場況の良い待ちを固定し、マンズとピンズに雀頭を求める。そして、朝倉の選択に答えるように手牌が流動していく。

その間にも滝沢はをツモり、イーシャンテンの形を広げていく。

滝沢がアガるのが先か、朝倉がリーチを打つのが先か。

次巡、朝倉、を引いてくる。

選択肢としては、打か、打か。

を切ると引きでテンパイが取れる。

を切ると引きでテンパイが取れる。

朝倉の目から待ちがよく見え、ピンズに雀頭作りも期待できるが、朝倉はストレートに打とした。

次巡、を重ねて、待ちのリーチ。

狙っていた待ちにはならなかったが、十分な手形。

この朝倉の4巡の選択だけで1本の映画が出来るくらい、躍動したツモと濃密な思考と緻密な選択だ。

そして、朝倉の表情に注目いただきたい。

卓上に入り込む勝負師の表情だ。かっこよすぎる。

朝倉の選択は、しっかりと実を結び、トップの滝沢に肉薄する4000オールのアガリ。

第1回戦は、朝倉が逃げ切り、

1位:朝倉(Pitares)+55.7

2位:滝沢(風林火山)+8.5

3位:白鳥(ABEMAS)▲21.8

4位:茅森(フェニックス)▲42.4

となった。

第1回戦終了時で、パイレーツは54,800点以上のトップ、フェニックスは197,700点以上のトップが必要だ。

そして、レギュラーシーズン最終戦は、日本プロ麻雀連盟、最高位戦日本プロ麻雀協会、RMU、麻雀連合の4団体を背負うエース、そしてレギュラーシーズンでしのぎを削る戦いをしてきた4チームを背負うエースが揃い踏みした。

パイレーツの船員が乗り込んだ船は、目の前にかすかに見えるファイナルシリーズに向けて大海原を泳ぐ。そして、フェニックスも一縷の希望に向けて、大きく羽ばたく。

最終戦は、

多井隆晴(渋谷ABEMAS) 

近藤誠一(セガサミーフェニックス)

小林剛(U-NEXT Pirates) 

勝又健志(EX風林火山)

の対決だった。

<南1局1本場>

最近、絶好調の現在10連帯中の多井が親番。

多井が鳴いても良し、鳴かなくても良しのこの形から間を引きいれて、6巡目リーチ。

同巡にドラドラの近藤もテンパイをいれてペンで勝負。

近藤のリーチは、打点は十分だが、待ちが悪すぎる。ここからまた多井の横綱相撲、2月最終場所が始まってしまうのか。

2軒リーチを受けたパイレーツ小林。あと22,400点が欲しい。親番はまだ残っている。

ここで持ってきたのは、ドラの

あぁ、麻雀の神様よ、パイレーツに試練を与えすぎではないのか。

小林はいつもとなんら変わりない、これまで続けてきた丁寧かつ柔らかい動きで、、、

2軒リーチに対して覚悟のドラ切り。心中はいつもと同じはずではないのだが。

この意図としては、

①親番の多井は切りリーチなので、とターツで持っている可能性が低く、単純な両面待ちで当たりづらい。また、近藤の捨牌からはソウズの状況が全く分からないのだが、1,8000点持ちの3着という点数状況から親の多井の捨牌にある待ちだとしても追っかけリーチをする可能性が高く、その分、ドラで放銃するケースは少なくなる。

を止めて迂回したとしても、2軒リーチの共通現物を持っておらず、アガリに向かうには現状、危険牌を最低2筋押さなければならない。また、自分が降り切れたとしても多井→近藤、近藤→多井の放銃が嬉しい状況ではない。

③小林自身で22,400点稼がないと行けない立場なので、リーチ棒5本かつメンタンピンまで望める手牌で自分のアガリの価値を大きく考えている。鳴いてテンパイできる牌がリーチ者の近藤から出た場合は、鳴いてテンパイを取るのだろう。そのための手広さMAXの打

覚悟の打とも言えるし、追い詰められてる打とも言えよう。

この小林の表情には、美しさを感じてしまった。

次巡、あっさりと近藤がの一発ツモアガリ。山には、最後の1枚。

多井の山5枚の待ちをくぐり抜けて、渋くて力強い跳満に仕上げる。

<南4局0本場>

小林は、役満条件を最終局にしっかり残した26,300点持ち。32,000点をアガることができれば、条件を満たしファイナルシリーズ進出だ。

ファイナルシリーズ進出が決まっている風林火山・勝又は、なんとしても素点を回復して、できれば着順アップもしくはライバルの多井の着順ダウンを狙いたいところ。

親番をむかえて8,400点持ちのラス。

勝又はこの手牌からの対子を落とし、

上家の小林が切ったをポン。

現状タンヤオのみの1500点の手で、素点も大きく稼ぎたいところだが、、、

小林は役満条件であり、国士無双に向かっている。そのため、初牌のも重なることが少なそうだし、小林がこれから大量に中張牌をサービスセンターしてくれるため、遠くて安い仕掛けだが、動き出す。

勝又のこういう何手も先を読んだ選択をしていくところが、Mリーグの軍師官兵衛と呼ばれる由縁か。(私が勝手に呼んでいるだけ)

解説の土田も言っているが、22,800点さえ持っていれば、条件は変わらない小林は、親の勝又にタンヤオプラス1役の2,900点までは、放銃することができる。

勝又がまたもや上家の小林の切ったでチー。打

勝又はこのイーシャンテンになり、自分でポンしている4枚目のを、、、

カンせずに一瞬でツモ切る。

この意図としては、

①打点は欲しいが、カンドラが乗らない場合は、1,500点→2,000点の打点アップにしかならない。また、近藤もしくは多井のリーチに押し返せるとは言いづらいイーシャンであるため。

②上家の小林としては、22,800点以上を保てる安い点数を勝又に振り込んで、役満になり得る配牌抽選を受けたいと考える。カンをしないことで、自分の手牌がまだイーシャンテンもしくは、安い鳴き仕掛けであることをアピールでできる。

もし、ドラが複数枚ある手牌なら積極的にカンしてツモ番を1回増やすだろう。

小林が勝又にアシストもしくは振り込みやすくする工夫だ。

勝又の他者の状況を利用し、自分に有利にゲームを進めていくところが、Mリーグの諸葛亮孔明と呼ばれる由縁か。(私が勝手に呼んでいるだけ)

仕掛けをいれている勝又を追い抜き、近藤はテンパイをいれる。リーチはせず。

そして、レギュラーシーズン最後のアガリが訪れる。

「2000-4000」

親番が落ちた時点で近藤は決めていたのだろう。

20万点は現実的ではない。7位の雷電とは、1.1ポイント差。もし、親番がなくなり4位の条件が絶たれてしまったら、最終戦をトップかつ6位で終えるのだと。

トップにはならないが6位にはなる、多井以外の2者から満貫の出アガリをしたかは分からない。また、自分のアガリは、他チームの状況にも影響を与えうる。

しかし、この静かな満貫は、たくさんのことを考え抜いた近藤のプロとしての矜持を表すアガリとなった。

麻雀とは、卓に着いた時点で黒子になることは出来ない。そういう意味では非常に残酷なゲームだ。

最終戦は、

1位:近藤(フェニックス)+56.3

2位:多井(ABEMAS)+15.0

3位:小林(Pitares)▲15.7

4位:勝又(風林火山)▲55.6

となった。

トップを取った近藤のインタビュー。

「フェニックスはいつか羽ばたきます」

そして最後に一言を求められ、最強位かつ最高位がこう答える。

「えげつないわ」

近藤の口からこの言葉が出るというのは、やはりMリーグが選手達にとって最高の舞台であることの証明だ。

21人がつくりあげた試合の数々は、見ている者の記憶に刻まれた。

大和証券Mリーグ2018レギュラーシーズンは終わった。

そして、EX風林火山、渋谷ABEMAS、KONAMI麻雀格闘倶楽部、赤坂ドリブンズによるファイナルシリーズが始まる。2019年3月の土日に1日3回戦(計24回戦)の予定だ。

私も早く、ファイナルシリーズに合わせた生活スタイルに切り替えねば。

 

アホ東大院生
22歳。麻雀プロでも天鳳高段位でもないが、とにかく麻雀観戦が趣味。