守るべき点棒と守るべき着順
小林剛が魅せた変化する麻雀
文・危険な鬼太郎【火曜担当ライター】2021年1月5日
麻雀は持っている点棒に合わせて選択が変わる複雑な頭脳ゲームだ。
同じ配牌を貰っても持っている点棒が1万点か3万点かだけでも大きく選択が変わる。(TEAM雷電の黒沢咲は極端には選択を変えていないイメージがあるが…)
今回の半荘では点棒に合わせて麻雀を打っている局面がたくさんあったので、それらをいくつか紹介していきたい。
【2回戦】
西家 小林剛(U-NEXTパイレーツ)
北家 茅森早香(セガサミーフェニックス)
東1局 ドラ 親・黒沢
茅森がドラのを先切りしての先制リーチを打つ。
ドラを先切りして安全牌のを切ってのリーチなので、打点があるかor好形聴牌かのどちらかはありそうだ。
これにすぐに追いつく黒沢。
を切れば待ちのリーチのみの三面張。を切ればリーチ赤1のカン待ちの聴牌。
は茅森に対して中筋なので三面張リーチかと思いきや、
ここは第三の道のカン待ちヤミテン。これは意外な選択。
を引いてのに変化もは3枚切れであまり旨味が無いし、を切る事になってしまう。なのでカンに受けるのならばリーチかと思ったが。
黒沢は先制リーチを受けて親なのに変化を待った。
「この手はを引けば待ちに変化するし、を引けばタンヤオ、を引けば三面張になる。そこまで待ってからリーチを打っても遅くはない」
そして悠々とをツモってツモ、赤の1000オールをツモる黒沢。
とてもゆとりがある選択が見せてくれる。
続く一本場では小林得意の仕掛けから、
役役ドラドラ赤の8000をツモる。
これまで13戦も打ってラスが無い小林。この半荘でもその強さをいかんなく発揮する。
東2局1本場 ドラ 親・亜樹
小林の選択。
自風のを対子で抱えての選択。を切りたいがドラなのでここは辺りを切って穏やかに進行させるのか?と思いきや
ここはドラのを叩き切る。どのターツも優秀過ぎて捨てきれないのでドラを離す。仮にこのドラを他家にポンされたとしても、小林には最悪の対子がまだある。
自身の守備力が高いからこそ、仮にこのが誰かにポンと言われたとしても降りきれる自信や、アガリきる自身があるのだろう。
小林が先制リーチへと踏み込む。
2シャンテンでドラのを切れる選手はそうはいない。小林が見事な手順での高目リーチタンヤオピンフのリーチ宣言。
これに茅森が捕まる。
自身の手牌が良いからのワンチャンスのを切ったのもあるが、小林はドラのを切ってを対子落とししている。タンピン系が匂う手順なのでこのは止められない。
ラスを決して引かない男、小林が好発進。
東3局 ドラ 親・小林
黒沢がカンヤミテンからの手替わりでリーチを打つ。
を引いてのカン待ちリーチ!序盤にを切っているので黒沢に対しては安全そうでなおかつが通っている。
は盲点の待ちになる。
これを受けて超好形イーシャンテンの小林が長考。
まだまだ黒沢のリーチには通っていない無筋が多すぎる。ここはぐらいスッと切るかと思いきや、小林はここで時間を取る。