遠くなる背中と押したい背中
文・越野智紀【金曜担当ライター】2022年4月22日
【第1試合】
東家:日向藍子(渋谷ABEMAS)
南家:岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:近藤誠一(セガサミーフェニックス)
Mリーグ2021(4/22第1試合)
ファイナルシリーズも4日目に入り、KONAMI麻雀格闘倶楽部は首位と221.5ポイント差の4位。
優勝には残り6試合でラスを引かずにトップ3回が必要な状況で出場したのが
セミファイナル終了後からファイナル開始までの1週間で状態を仕上げてきた滝沢和典選手。
ここでトップを取って反撃の狼煙を上げたい滝沢選手でしたが、いきなり出鼻を挫かれてしまいます。
東1局、早々に親の日向選手からダブポンが入り
愚形二つ残りの2,000点リャンシャンテンでは厳しいと1枚目のはスルー。
形が整い打点も3,900点からに変化したところで2枚目のをポン。
危険なは先切りと、将来的に日向選手の現物のが出ることをイメージして布石を打っておきます。
も鳴けて愚形が解消。
もも日向選手の現物と戦える形になりを切ると
ちょうどテンパイした日向選手に5,800の放銃。
自然と押し出されたように見えたでしたが、滝沢選手自身は「多分判断ミスだった」と敗因の一つに挙げていました。
「結構基準が曖昧なんですが(2枚目のを)鳴かないことも良くあります」
ドラ跨ぎで放銃したら5,800点以上の失点で、自身の手は3,900点で速度も負けている。
自身の麻雀を「釣りをしているよう」と例えた滝沢選手なら回避出来た放銃だったかもしれません。
その後、東2局3本場で赤3のチャンス手が入った滝沢選手でしたが
残していたが近藤選手への放銃となり苦しい展開が続きます。
南3局1本場
0面子3対子で愚形多めと連荘したい親番にはやや不向きな配牌をもらった滝沢選手は
数巡しても何一つ変わらない手に「座して死を待つよりは、出て活路を見出さん」と切りを選択。
残したは2枚切れていたので重なりやすさを重視したわけではなさそうです。
その後、をポンして切り。
チートイツの2シャンテンから形式テンパイ2シャンテンに移行しました。
滝沢選手の捨て牌はタンヤオには見えません。
ドラがということも利用して周りを抑えこみながら形式テンパイへ。
これが切りの時から考えていた滝沢選手の計画でした。
近藤選手や日向選手はトータルトップのサクラナイツ岡田選手のラス落ちは歓迎です。
滝沢選手にツモアガられても痛さが少ないので、ブラフに気づかない限りは放銃のリスクを冒してまで攻めてくることは無いでしょう。
ブラフはプレッシャーがかかる場面ほど威力を発揮するのですが
その効き目が強すぎたか、本来かわし手を入れたくなかったはずの岡田選手の仕掛けを誘発してしまいます。
役有りでテンパイしていた日向選手を降ろすことには成功しましたが
そこで打たれた滝沢選手の現物が岡田選手へのロン牌で滝沢選手の親番が終了。