大和証券Mリーグ2022-23、10月7日の第1試合。
開幕戦を戦ったU-NEXT Piratesの木下尚監督は、実施していたオンラインPVの最後で、仲林圭の先発を予告した。
今シーズンからMリーガーとなった仲林は、かねてから麻雀界で強者として名の通っていた打ち手である。麻雀最強戦ではファイナルに複数回進出し、2022年には「發王位」というビッグタイトルを獲得し、パイレーツからドラフト指名を受けた。そうした経歴は、仲林と同じ日本プロ麻雀協会に所属し、Mリーグでも最強の一角として名前の挙がる、KADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾と重なるものがある。
果たして、仲林圭はどれほど強いのか。
「龍を継ぐ者」が、Mリーグの舞台でベールを脱ぐ。
第1試合
東家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
南家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
西家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
北家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
とんでもなかった。ドラのにもトイツ、赤が2枚。高打点が約束されたこの手を、仲林はどう仕上げるか。
しかし先制は内川、チートイツの待ちからドラを引き入れると、待ちを変えてリーチ。ドラ待ちチートイツはリーチしてツモればハネ満か倍満、開幕から大きなリードを作れる。なお、このリーチを仲林は、内川の手出しから「チートイツの待ち」と読み切っていたという。
親番の茅森もすぐに追いつき、待ちで追っかけリーチ。
出遅れた仲林だったが、リーチの茅森からが鳴けて、カン待ちテンパイ。
さらにをポンしてを切り、とのシャンポン待ちに構える。なら倍満、でもハネ満。いずれにしても強烈だ。
すぐに茅森からが出て、仲林が幸先良く初アガリを決めた。
トイトイドラドラ赤赤の7翻、12000のアガリは、点数面以上に緊張の初戦を迎えた仲林にとって心強いものになっただろう。
東3局は1巡目からをポン。ドラがトイツで打点もそこそこ、手もある程度まとまっているということで、軽快に仕掛けていく。
チーの後にを引き、使えれば満貫ということでいったん手に留めたが、マンズがリャンカン形になって受けが広がったところであっさりとリリース。この局に最優先すべきはアガって局を進めることであり、姿勢は一貫している。
だが、内川がと立て続けに仕掛けてトイトイのテンパイ。仲林はまたしても、先手を取られてしまう。
その後、仲林はチーでのカン待ちテンパイで追いつき、のシャンポン待ちへと手牌を変化させていくが…
1枚切れのを引くと、さほど時間をかけることなく手を崩した。内川は序盤から中張牌をバラ切りし、ポンポン。トイトイ本線と考えると、が待ちになっているケースはそれなりにありそうで、内川の自風で放銃すれば満貫クラスの失点は免れない。このあたりの甘えない押し引きバランスはさすがだ。
さらに面白かったのが、流局で迎えた東4局1本場。先制は茅森、カン待ちリーチ。
リーチ直後の仲林の手牌。タンヤオにピンフ、イーペーコー、三色といろいろな手役が狙える形だったが、茅森のリーチに振り込めば優位な立場が一気に崩れる。
形が良くても、まだノーテン。ここはいったん、現物のを抜いて守備に回った。
ロン牌をつかんでワンチャンスの切り。自身の手牌価値を重く見て遠くからでも押し返していくタイプの打ち手であれば、ここで放銃していたかもしれない。茅森がほとんどピンズを切っていないとはいえ、ものワンチャンスになっていた。
その後、マンズを払っていくなかでを引き入れ、カン待ちでテンパイする。
次巡、ドラの引き。自身が2巡目に切っている牌で、ドラとは言え1枚切れの字牌だけに、「当たる可能性は少ない」として切る手もなくはないだろう。
仲林は少し考え…
を切ってテンパイをキープした。だが、それは決して上記のようなラフな考えによるものではない。試合後の仲林の言葉を紹介する。
「茅森さんが1巡目に切り、4巡目にを手出ししているので、トイツ手が否定される。そう考えるとが当たるのはシャンポン待ちのみで、ベタオリ気配の白鳥さんと内川さんのどっちか持っていそうと考えると、単騎にしか当たらないはかなり通るかなと思いました」