稀にみる接戦を制した
堀慎吾、連闘権を行使して
つかみ取った同日連勝と
四者の織り成すアヤ
文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2023年11月24日
麻雀は、富める者が富み、貧しき者が貧しくなる「経済」のゲームだと誰かが言った。
点数に余裕のある者は「勝負から降りる」ことが許される。
テンパイ料を支払うか、ツモられた分の点数を支払えば、真っ向から相手に対峙しなくても済む。
では、点数を持たない者はどうか?
そう多くはないチャンスを見極め、機と観れば身を捨ててでも前へ出なくてはならない。
終盤になればなるほど無茶で不合理な戦いを強いられる。
返り討ちに遭えばさらに傷は深まり、あるいは致命傷を負いかねないだろう。
どちらが有利か?
それはもちろん、選択の余地がある「富める者」のはずだ。
しかし。
時として、持たざる者が持つ者を逆転することがある。
だから、麻雀は面白い。
第2回戦
東家:萩原聖人(TEAM RAIDEN / 雷電)
南家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
北家:小林剛(U-NEXT Pirates)
第1試合で接戦をものにした堀が、連闘権を行使して臨んだ第2試合。
終盤に差し掛かる南2局を迎えた時点でトップ目を走っている。
2番手の萩原や3番手の白鳥とはマンガン圏内だが、第1試合のトップもあって、「富める者」は充実した精神状態。
デイリーダブルに胸が弾んでいることだろう。
ご覧のとおり満面の笑みを湛えて迎えた南2局。
1巡目に親の堀から切りだされた自風のを、萩原が元気良く仕掛けた。
すると、それに呼応するように堀もを叩いて前へ。
ここで、現在3番手の白鳥の手牌を観てほしい。
赤ドラを2枚抱えているが、捌きが難しい手格好。
ここに、3枚目のを引いてきた。
「要りますか? 要りませんか?」
解説席でもすぐに答えが出なかった難問。
白鳥は場を見渡して、
をツモ切った。
チートイツにもメンツ手にも対応できる柔軟な対応。
この先切りが秀逸だった。
序盤のマンズの切れ方からまだが山にいると読んで、待ちのペンチャンターツを手厚く抱えてしまう。
この巡目でメンツづくりに大切なが暗刻から切られるのはレアケース。
白鳥の捨て牌もチートイツと断定しづらいため、萩原は読みを狂わされている。
と、ここでファーストテンパイを入れたのは小林。
元チームメイトであり、小林の打ち筋を良く知る解説の石橋伸洋氏が「リーチでしょ!」と訴えたこの手。
萩原、そして親の堀が役牌を叩いていて、スピード決着の可能性が高い場面。
ドラトイツ、そして赤ドラまで抱えていて打点も十分で、ストレートにぶつけてくる手はあるように思われたが、