ハードモードな「ダイゴの大冒険」 ようやく鳴り響いたファンファーレ、踏み出した冒険の第一歩【Mリーグ2023-24観戦記 12/5】担当記者 渡邉浩史郎

ハードモードな
「ダイゴの大冒険」
ようやく鳴り響いた
ファンファーレ、踏み出した
冒険の第一歩

文・渡邉浩史郎【火曜臨時ライター】2023年12月5日

第1回戦

東家:醍醐大セガサミーフェニックス
南家:黒沢咲TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:内川幸太郎KADOKAWAサクラナイツ
北家:日向藍子渋谷ABEMAS

RPG(ロールプレイングゲーム)

これまで数々の名作を生み出してきた、ゲームジャンルの一種だ。最早代表作の名前を挙げるまでもないだろう。

”ロールプレイング”という名前の通り、プレイヤーは主人公としてまずその世界観の中に溶け込む必要がある。それではプレイヤーが主人公との一体感を得るための、これから大冒険に踏み出すその第一歩としてふさわしい瞬間とはどこであろうか?

主人公に名前を付けたとき、色々な使命を帯びたとき、広大なワールドマップに足を踏み入れたとき……

人によっても様々だろう。聞くところによると、プレイヤーが最も「ああ、これから大冒険が始まるんだな」と感じるのは、最初の戦闘に勝利した瞬間であるらしい。自身で主人公を動かし、ダメージを受けながらも敵を倒し、初めて勝利のファンファーレを耳にする一連の体験。

「最初の勝利」まさにこれこそが冒険の第一歩といえるだろう。

そういう意味で、まだ醍醐の大冒険は始まりを告げていなかった。

【東1局】
これまでも開局に跳満クラスの会心の一撃を放ってきた醍醐。ここでもいきなり炸裂した。

先制リーチの内川に押し切り、【發】トイトイ三暗刻・ドラ3。開局跳満ツモでもトップを取れないならと言わんばかりの倍満、しかも親!

8000オールに内川のリーチ棒もついてきて、持ち点は50000点に。いきなりの大幅リード。
これにはさすがの醍醐も次局が始まる前に、大きく息を吐いた。
この緊張と緩和は、サウナ好きで知られる醍醐でもなかなか味わえない刺激だろう。

とはいえこれでも諦めてくれない相手なのは、当の醍醐が散々わからされている。

その後の東場はツモ1回、ロン和了1回、放銃2回と、全て醍醐が絡む形での決着となった。

特に目を引いたのは【東3局】。黒沢のリーチと内川のタンヤオ仕掛けを受けて、残りツモ2回でワンチャンスの【9マン】を押した場面だろう。

このまま他家の和了りがなければ、点棒を減らして親連荘。局数が増えることとなる。
それならばまず内川に当たらない【9マン】を切って聴牌系を維持。危険牌を掴まなければ聴牌料獲得、和了れば局消化、最悪黒沢に放銃しても局消化という構えにした。

黒沢への放銃にこそなったが、
「3900なら全然耐えたぜ黒沢さん♪」
表情からはそんな心情が読み取れるか。

東場を完璧な局回しで抑えた醍醐だったが、南場になった瞬間卓上のモンスターたちが牙を剥き始めた。

グラフを見れば一目瞭然。聴牌料、ツモられ、不意の放銃、点棒が出ていきっぱなしの地獄。

初役満も欲しいには欲しいが……

今はとにかくトップが欲しい!

しかしそんな醍醐の想いを嘲笑うかのように、展開は悪いほうへ傾いていく。
【5ピン】さえ引かなければアガれていた【3マン】。親の内川のリーチにシャンポンや単騎をケアして降りた中筋の【4ソウ】【北】・河底の2600で黒沢に局流ししてもらえた牌。

「内川君が勝ってくれれば……」

【南4局】、またしても希望は打ち砕かれる。三着目で親の日向が捲り合いに勝ち、なんとまさかの三つ巴。

醍醐、まだなのか。また届かないのか。

応援しているファンの人たち、セガサミーフェニックスのメンバー、そして醍醐自身。
流れなんて存在しないとしても、ヒトの脳が過去の映像と今を重ね合わせる。

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