文・東川亮【火曜臨時ライター】2024年1月23日
私事で恐縮だが、筆者はここ最近、いわゆる「坐骨神経痛」というやつを患ってしまった。歩行などには支障がないものの、立ち上がるときや長時間同じ姿勢でいるときに、右の臀部からふくらはぎにかけて痛みやしびれが走る。現在は整骨院への通院やセルフケアで症状の緩和を目指す日々だ。
だったら麻雀なんてもっての他では、と思われるかもしれない。ただ、麻雀は数時間でも普通に打てるし、なんなら打っていた。それだけ面白いゲームなのだ。そしてその最高峰たる大和証券Mリーグ2023-24の舞台、1月23日の第1試合では、2人のニューカマーの麻雀が、特に興味深かった。
第1試合
東家:小林剛(U-NEXT Pirates)
南家:猿川真寿(BEAST Japanext)
西家:浅見真紀(赤坂ドリブンズ)
北家:東城りお(セガサミーフェニックス)
ゲームが大きく動いたのは、東3局2本場。親番の浅見がリーチ一発ツモピンフドラドラ、6000は6200オールを決めた。供託も合わせると2万点以上の加点となり、他3者を大きく突き放した。
ただ、この局で印象的だったのは、猿川の立ち回り。序盤に小林が場風のを鳴いて切ったをカンチャンでチー、待ちタンヤオ赤、2000点のテンパイを取っている。マンズ33455はドラ引きをはじめ変化もしやすく、巡目も早いために高打点を狙いたいところだが、猿川はシビアにアガリを狙った。
そもそも、前巡の理牌がカンを鳴くための並べ方なので(※33455ではなく35345としておくとカンチャンで鳴いたときに他のターツを読まれにくい)、この局は鳴き、つまり打点よりもスピードを意識していたことが分かる。結果はよいものとはならなかったが、一つ猿川の姿勢が見えた。
迎えた次局・東3局3本場では、猿川は小林の先制リーチに対し、という愚形テンパイで追っかけリーチを敢行。は小林の先制リーチに対して浅見が1枚切っているが、オリ気味の2人が切っていないことで、残り1枚が山にあり、勝算も立つと見たか。
は山になく、が残り1枚。それを見事に引き入れ、リーチツモドラ赤の2000-4000は2300-4300を決める。
さらに猿川がアガリを重ね、迎えた南1局。
猿川は赤赤の1シャンテンだったが、小林のリーチを受けて少考の末にメンツからを抜き、いったんは後退を選択する。
しかし、上家小林が切ったを見て手を止めると
「チー」
カンで鳴いて再び前進。
が場に3枚目で、これを鳴かないとソーズメンツを組むのが難しい。また、が少しだけ切りやすくなったことも後押ししたか。とはいえを切っているのでそれでも苦しくは見えたが・・・。
チーは唯一とも言える完全復活のルート。フリテンを解消してタンヤオもつけられる最高の形となった。ただ、テンパイ打牌をとしてしまうと小林のシャンポン待ちに放銃してしまうが・・・
ここは切りで回避。小林がを切っているので待ちが否定されており、こちらのほうが当たるパターンが少ない。
最後はをツモ。
1000-2000という打点以上に、猿川の鮮やかな切り返しが見事だった。
猿川は南2局も独特の仕掛け。一気通貫が見えるとはいえ、4巡目にチーから仕掛けるのは躊躇する打ち手も多そう。東城が既にポンチーポンと圧のある鳴きを見せていたが、その分ソーズは打ちやすく、ピンズで応戦できる余地はあると踏んだ模様。
小林から急所のが鳴けて一気通貫ドラ赤、5800のテンパイが完成し、
トップ目・浅見からの直撃に成功。
これで4局連続のアガリとなり、浅見を逆転するが、試合はそのままでは終わらなかった。
猿川のアガリラッシュを止めたのは浅見。南2局1本場にリーチツモタンヤオドラの2000-4000は2100-4100をアガって、猿川を再逆転する。
南3局。
親番の浅見は赤赤ドラの手からを鳴いて目いっぱいに構えていたところに、東城のリーチを受けた。ただ、リーチの一発目に猿川が切ったは欲しいところの一つ。鳴いて切りとする。このままテンパイしたらも勝負の構えに見えた。
次巡、猿川からが打たれる。チーすればドラ赤、5800のテンパイ。
・・・には目もくれず、浅見はツモ山に手を伸ばした。ノータイムの選択からはスルー、すなわちは打たないと決めていたことが分かる。赤での放銃は打点も伴い、猿川を下回り、東城に迫られてオーラスを迎えることにもなりかねない。
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