影をも踏ませぬ大まくり!
〜滝沢和典、執念の南4局
文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2024年10月日
第1試合
東家:勝又健志(EX風林火山)
南家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
西家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
北家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
実況の小林未沙さんに今シーズンの感想を求められた解説の忍田幸夫プロ。
「思ったよりも展開が荒れているというか、大物手が出現している。観ていてドキドキワクワクしている。」
その言葉どおり、第1試合も高打点が飛び交う展開となった。
東2局には優の満貫ツモ。
次局の東3局には勝又が満貫ツモ。
両者が一歩も引かない展開から、勝又が2つのアガりで頭ひとつリード。
しかし、終盤の南3局にゲームが大きく動く。
これまで失点が先行しているたろうが失地回復のためドラ単騎テンパイを取ると、トップ目の勝又もテンパイ打牌のを仕掛け、河が1段目のうちに2人がテンパイに。
たろう、勝又のいずれがアガっても勝又のトップ確率が跳ね上がる展開。
追いかける優としては厳しいのだが、
急所のペンがスパッと埋まり、ピンフドラ2を即リーチ。
その一発目、
たろうのツモは無情にも優のロン牌である。
自身も勝負の満貫テンパイであることからこれをツモ切りする。
リーチ一発ピンフドラ2。裏ドラは乗らず12,000点のアガリで勝又に肉薄。
さらに優は南3局1本場で、
トップ目の勝又から3,900点を直撃してついに逆転に成功。
次局、勝又がようやく優の親を落としてオーラスを迎える。
トップ目の優と2番手の勝又の点差、わずかに100点。
両者ともにアガった方がトップ。
100点差に40,000点相当の価値があるため、この局のスピード決着は必至の状況。
が、ここで解説の忍田プロが語った冒頭の言葉を思い出してほしい。
「思ったよりも展開が荒れているというか、大物手が出現している。観ていてドキドキワクワクしている。」
そう。
このゲームも、このまますんなりとは終わらなかったのだ。
南4局。
ここまでノー和了だった滝沢の親番。
この配牌から、
と、2連続でを引いてグッと手牌が引き締まった。
一方、トップ目の優は対照的。
4巡目、いかにも重いこの手格好で手が止まった。
しばし場を眺めた後で、
優は打として三元牌を切らなかった。
ライバルの勝又に万が一にも鳴かれたら自分のこの手では戦いようもない。
となれば、できることは牌を下ろさないこと。
ひとまず迂回しながら浮上のきっかけが現れるのを待つ。