ABEMAS:多井が迷い込まされた、比類なき地獄の門【Mリーグ2024-25観戦記 11/19 第2試合】担当記者 渡邉浩史郎

ABEMAS:多井が
迷い込まされた、
比類なき地獄の門

文・渡邉浩史郎【火曜臨時ライター】2024年11月19日

レギュラーシーズンの1/3が終わった。いよいよ中盤戦の始まり、本日一戦目を終えての結果がこちらになる。

今日出場の中でやはり厳しいのは8位の渋谷ABEMAS。例年レギュラーを安定して突破していた印象だが、今年は現段階で▲300を超えてしまっている。

シーズン途中で▲300ポイントを一度でも超えたチームはその年のレギュラー突破をしたのは昨年の風林火山のみ。ここに一つの大きな「壁」とでもいうべき指標がある。

そう考えると今ABEMASが片足を突っ込んでいるのは地獄の門。くぐるものは一切の希望を捨てよ、とまで言われる永劫の絶望と神罰の世界に……

挑み立つは文句なしのリーダー:多井隆晴。チームの危機を救うため、自身が忌み嫌う11月もフルスイングでの登板となった。

パブリックビューイングも行われる中、すべてを吹き払うべく挑んだ多井。
しかし【東1局】から配牌は地獄モード。

第一打は【6ピン】となった。ホンイツよりはチャンタの門前13枚で手を進めつつ、実際はほぼ配牌降りの進行だろう。

親の渋川が第一打自身のW【東】から切ると、すぐに【白】をポン。【5マン】【7ソウ】【2マン】【1マン】とかなり手出し・河となっている。しかし配牌からターツを絞ったことで、比較的安全にこのイーシャンテンまでこぎつけた。
【7マン】も決して安全な牌ではない。しかしたった今【2マン】【1マン】とターツを切ってきた渋川には、今この瞬間に有効牌を引いて聴牌したパターンにしか当たらないことが多いためちょいプッシュ。

渋川から【西】が打たれるが……

これはスルーとなった。既に【1ソウ】が二枚切れのため、和了りだけ見るなら鳴きたいところ。
しかし渋川の【西】の意味を考えると話は変わってくる。

この【西】手出しは【2マン】【1マン】ターツ落としの際に引いたであろう安全牌候補であることが多く、それを切ってきたからには渋川の手が進んだか、より安全な牌を引いたかのどちらか。
そもそも渋川の仕掛けは第一打自身のW【東】を切っていることや、ドラ表示牌の【7ソウ】【1マン】【2マン】のターツ落としより前に切っているなど、早い高いの情報が漏れ出ている。

両面にしか当たらない【2ソウ】とはいえ、5800~12000想定の渋川に押すには見合わないという判断だろう。
恐らくだが安全牌の【1ソウ】を切れる【3ソウ】【6ソウ】のチーからなら、発進して瞬間の躱す可能性を見たはずだ。

【2ピン】【7ピン】と引かされてギブアップ。多井らしい進行を見せてくれた一局だった。

一方で攻撃的な選択を見せてくれたのは、【東2局】の親番。

2暗刻目ができての選択。
和了り率だけなら対子を落として両面両面に構えるのが正解だ。過程で両面のどこかを重ねれば再び三暗刻含みのイーシャンテンに戻ってこられる。
一方で両面を払えば最高形の四暗刻や、一枚ポンしてのトイトイツモリ三暗刻のマンガンを見据えることができる。多井の選択は……

【4マン】。両面落としだ。
落とす両面の選択にも味がある。
枚数だけなら【1ソウ】が二枚切れな分【4マン】【5マン】残しのほうが良さげだが、【2ソウ】【3ソウ】は対子になった時に強いという明確な利点があるといえよう。また、【赤5マン】がある分切るなら【4マン】からというのも理にかなっている。

茅森の先制リーチに追いついての最終形でさえ、【1ピン】【4ピン】【8ソウ】の三面張に取らずにツモり三暗刻の形とした。親番で決める、その意思が強く見えたが、これも和了りには結びつかず。

ここから多井の地獄が始まった。

流局続きの東3局からを何とか放銃なしでつないだものの、後半戦突入の南場でいきなり目下のライバル寿人にマンガンをツモられる。

親番を【白】ポンでつなごうとするも、ここでも親被り。

これを和了りきればトップまで見える、夢のある手牌も……

急所のドラ【2マン】が早々に渋川にポンされてベタ降りに回らざるを得なくなる。

耐えて耐えて、目一杯に受けたことが功を奏したこの先制ドラドラリーチも……

多井の頭上に輝くのは無情な灰色の0。おまけに飛んでくるのはライバル寿人のリーチ。一人旅すらさせてもらえない。

およそ麻雀の不幸をすべて背負い続け、いよいよ迎えたオーラス。

さっそくのマンガンツモ条件を満たす聴牌。仕掛けた寿人からの直撃も狙える待ちになったが……

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