二度の単騎の裏で魅せた高打点の幻影
文・高倉拓馬【火曜担当ライター】2025年1月14日
第2試合
東家:本田朋広(TEAM RAIDEN/雷電)
南家:松ヶ瀬隆弥(EX風林火山)
西家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
この半荘、おそらく視聴者が一番印象に残っているのは、
この、たろうの七対子、二度の単騎待ちであろう。
しかも一個は、一発、裏2のおまけ付きで倍満にまで成長。
「単騎」と、チームメンバーである園田賢の持ちゼリフ「なんなん」をかけたポストも話題となった。
実際この2発が決定打となり、ドリブンズはデイリーダブルを達成。スコアは900ポイントの大台を突破し、レギュラーシーズン瞬間最大ポイントの記録を更新。
前人未踏の4ケタ終了も夢ではない、そんな雰囲気すら感じられる。
その雰囲気は、この単騎2発だけでなく、他の局の内容からも表れていた。
それが「たろうブランド」の仕掛け。今回は、2発の決定打となった局から、たろうらしい仕掛けが存分に発揮された局まで、充実の半荘をご覧いただこう。
単騎①ドラ単騎か1枚切れ字牌単騎か?
南1局1本場
4巡目、19牌の整理をしているうちに、4対子の手牌になる。
ドラのを引き、少し考えて打とする。
が重なった時には七対子ではなく仕掛けの手牌にする方針。その場合はターツがある方が良いと判断し、まだ2枚切れのは残してゆく。
七対子一点にはせず、保留をする一打だ。
すると、保留目的で残したが重なり、5対子で七対子のイーシャンテンに変貌。
1枚切れの、ドラの、2人が初打にを打っていて場況がよいと、5巡目にしてかなり良い牌が揃っている。
それもあってか、暗刻手には目もくれず、七対子に決め打っていく。
狙い通りを重ね、たろうはドラを打って1枚切れ南単騎のリーチを選択。
赤が1枚あるため、ドラのが無くても6400点というのが非常に大きい。
ションパイのドラ字牌と1枚切れの字牌では、
・山にいる可能性
・他家からの出やすさ
が段違い。打点を半分にしてでも採算がとれる。
自分の河が中張牌だらけのため七対子に見られてしまうのでは?という心配もあるかもしれないが、それはドラ切りが上手く匂い消しの役割を果たす。
というのも、やはり七対子においてドラ単騎は選ばれやすい待ち。
特に今回はたろう自身の河に、と落ちているため、暗刻手を消して七対子に固定した今回のパターンでもない限り、手牌に赤が内蔵されているパターンは少ない。
ドラ0であれば、1枚切れ字牌単騎との選択でもドラ単騎を選ぶ人は多いのではないか。
そうなると、1枚切れの字牌はそこそこ盲点にもなりうる。
結果、これが
追いかけリーチを打った本田から出て、6400点のアガリ。
実際、は滝沢に対子。は2枚山で、単騎にしていたらアガリ率は下がっていただろう。
単騎②七対子イーシャンテン、3枚の残し方
南2局3本場
早々と七対子のイーシャンテンになったたろうの手牌。
まずはシンプルに、枚数重視でを打っていく。
序盤はまだ河の情報もはっきりしていないし、読みを入れるよりも目先の情報に頼る方が良い好例だ。
が一枚切れであるため、トイトイの発進より、七対子を維持する選択に向かいそう。
4巡目、ツモで打とする。
面子手に戻る際にはが全て消える可能性が濃厚。そのためこの瞬間は
「単騎の即リーチ効率」
に重きをおいているように感じる。
特にツモでテンパイしたときの単騎は、リーチが打ちやすい部類に入る待ちだ。