長く短い祭、
その開幕を告げる
仲林圭の尺玉と
三浦智博が
私に見せた幻影。
文・渡邉浩史郎【月曜担当ライター】2025年9月15日
8年。
その歳月は長いようで、気が付けば呆気ないものである。
当時大学生だった男も、気が付けばアラサー。
この観戦記者を始めた時には「誰誰のこの牌姿」と言われるだけで試合を特定できるくらいだったものの、今では「歴代優勝チームを順番に挙げろ」程度の問題でさえ厳しいくらいになってきた。
8年という歳月の中で、毎年新たな風、新たな熱狂を届けてくれるMリーグ。
今年はいったいどんな戦いが待っているのであろう。
瞬き厳禁。あっという間のレギュラーシーズンの開幕だ。
あゝ、今年もあの音楽が聞こえる…… 長い祭が始まるぢゃないか。

第2試合

東家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
南家:三浦智博(EARTH JETS)
西家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
北家:東城りお(BEAST X)
本日二戦目、なんといっても注目は新Mリーガー、EARTH JETSの三浦智博と……

一年の間をおいての初の出戻りという形になった、BEAST Xの東城りおだろう。
そこに対する形となったのはたろうと仲林。
たろうは言わずもがなの打点派。東城も過去シーズンを知る人ならば真っ先に打点の印象が伴うだろう。三浦も打点派として大きく名の売れた選手であるが、このMリーグルールにおいての対応が気になるところ。
高打点が飛び交った一戦目と同様の派手な展開になるかと思われたが、序盤はおとなしく局が進む。

注目の三浦の親番。このカンから仕掛けて打
とした。
マンズのペンチャンターツ二つを嫌って赤とドラを使う道を画策したが、巡目との兼ね合いで無理そうであれば早々に見切りをつけていく。
同じマンガンでも親番であれば8000点の収入から12000点の収入に変わる。連荘を続けることで失点を防ぐと同時に次の高打点の手を価値あるものにするということだろう。

暗カンで聴牌が入るも、仲林からのリーチを受ける。
ここでの押し引きも見てみたいところであったが、ここは東1局同様東城が七対子を決める展開に。

嵐の前の静けさのように、マンガン以上の和了が出ることなく南場を迎える。
事件が起こったのは【南1局1本場】。

まず注目を引いたのは、ここまで和了りがなかった三浦。ドラのWを重ねて今日一番の手牌。

東城が目一杯のイーシャンテンの形で早々にを切り出す。
微差とはいえトップ目ということもあり、鳴かれさえしなければこの後の手組も比較的楽になる。形は不満ながらも先打ちしたドラであったが、しかし……

三浦が待ち構えていた! ドラをポンして、この局最初の分岐点が訪れる。

三浦の選択は打。
周りで両面を作り直し、ネックになりそうな3枚切れの
を払いたいことが一つ。ドラを切ってきた東城に
が現物なのも残しやすい要因だ。
当然の選択であった。

次巡持ってきた。前巡に
を残したときに起こるこの変化では、仮に両面がチーできても待ちが単騎になってしまう。
受け入れこそ広いが聴牌形の和了り率は高くはない、といった具合だ。

意外だったのはこの上家から出たをチーしなかったこと。
