麻雀って構想力が大事なんですね
文・東川亮【火曜担当ライター】2024年12月17日

大和証券Mリーグ2024-25のレギュラーシーズンは、12月17日の第2試合で全チームが48試合を消化する。レギュラーは各チーム96試合、つまりここが本当の意味での折り返し、ということだ。
チームそれぞれに状況の善し悪しがあるが、悪いチームは少しでも上昇ムードをつかんで後半戦に向かいたい。

その観点で言うと、やはりこの試合の注目は下位に沈む渋谷ABEMASということになるだろう。
2戦目の出場は白鳥翔。
ここでの一勝には、決して小さくない価値がある。

第2試合
南家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
北家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)

東2局、白鳥はペンチーから動いた。狙いは一気通貫。ドラドラ赤でアガれば満貫になるが、門前で進めるには愚形が多いということで、仕掛けを駆使して役をつけに行く。アガるためには
が必須だと分かってはいても、特に序盤ではなかなか動きにくい人も多いのではないだろうか。

この仕掛けがうまく行き、を引き入れてテンパイ。こういうときは役が確定するペンチャン待ちのほうが、同巡フリテンなどによるアガリ逃しにならないのでうれしい。

見事をツモって一気通貫ドラドラ赤の満貫。アガりたい手をしっかりとアガリに結びつける、白鳥の初動と構想力が光った。

南1局1本場。
親番の白鳥がピンフ赤赤の先制リーチをかける。ここからの園田の対応が面白かった。

優が切った現物を園田が出来メンツから、いわゆる「一発消し」のチー。

真っすぐアガリに向かっているわけではなく、現物のを切っていく。

現物や安全そうな牌を並べながら形を崩さないで進行すると、直前に通ったをチーできて1シャンテン。

最終手番でテンパイ、は通っていないが
のノーチャンス、
3枚見えで、生牌とは言えこのくらいは切る。

一発消しのときは1メンツしかなかったのに、テンパイを取りきれてしまった。園田の「できることは全部やる」の姿勢が生んだ1500点の加点。こういうところを園田はサボらない。

南3局、園田がさらに面白い構想力を見せる。
きちんと並べられていないが、1打目に園田が選んだのは、ターツになっている。
あとからを鳴きやすくするための工夫だ。

すぐに寿人からが切られたので、これはポン。相手からすれば
からいきなり
を切っていることが見え、明らかに変だと分かる。タンヤオも消え、役牌がらみでなければ何らかの手役を狙っていることが明白。

続いてポンと、軽快に仕掛けていく。園田としては、
が使えれば役がつくのでOK、トイトイに仕上がればなおのこと良し。

が重なって1シャンテン、受け入れが広いのはもちろん
切りだが、園田は
を切った。親の園田の仕掛けにたいして各者は役牌を切りたくないが、ここで
を手から見せてしまうと、役牌の候補が限定されてしまう。現時点では
の役牌4種が場に見えておらず、相手の選択肢を狭めないことで、字牌選択で
が選ばれる可能性を少しでも高めようという算段だ。

次巡のツモは、テンパったので
は勝負。
は鳴きたい牌ではあったが、なんとロン牌になった。

園田を警戒したか、寿人はを引っ張ってしまっていた。そして、園田がテンパイしたタイミングで
を引き、受け入れが広がる。劣勢でドラドラの手牌、これ以上絞っている余裕はない。

園田のトイトイ、7700。同じアガリができる人が、どれだけいるだろうか。園田オリジナルと言いたくなるような1局は、配牌からの構想力が秀逸だった。

麻雀打ちの方であれば、自分が会心のアガリを決めた後には良い手が入る、という印象はないだろうか。もちろんそれは錯覚だが、現実として次局の園田の手は赤赤のチャンス手。ツモもいい。園田曰く「これは完全に俺のターンだ」。

しかし、好事魔多し。
先にテンパイしたのは白鳥、チートイツを待ちに構えてダマテンとする。もちろんこれが最終形ではなく、もっといい待ちに変えてリーチの構想だろう。優や寿人からの出アガリでは園田をまくれないので、2人からは見逃すつもりだったそうだ。

園田がを引き、手の形がさらに良くなる。
しかし、そこで打ち出される牌は・・・。