文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2025年9月26日
Mリーグ公式解説としてお馴染みの土田浩翔プロ。

いつもニコニコと優しい佇まいで麻雀の魅力を伝えていらっしゃるが、昔から「麻雀プロとは?」ということに対する思いが強く、また理想が高い方であるため、その評価には辛口なことが多い方だった。
昨夏のこと。
土田プロと東京でお会いしてさまざまな話に花が咲いた際にも、麻雀の話となると厳しい表情に変わった。
30年経っても、麻雀に対して真摯であれという姿勢は変わらないんだな。
土田プロが見せる、麻雀に対するまっすぐな眼差し。
私はそれを久々に見ることができてとても嬉しかったのだが、その話の中で「素質は別格」と言わしめた女性プレイヤーがいる。

それが、岡田紗佳である。
土田プロからお話を伺ったのは2024-2025シーズンの開幕前。
2023-2024のレギュラーシーズンで岡田は個人6位の好成績を収めていた。
「誰にでも不調の波はやってくるはず。苦境に立たされた時の岡田選手の姿を見ていてごらん。」
と、岡田についてこんなことを話していた。
そして、
「その壁を乗り越えることができたら、きっと彼女はすごい打ち手になるはずだから。」
と続けた。
その言葉のとおり、昨シーズンは大きなマイナスに沈んだ岡田。
しかし、雌伏の一年を経て大きな成長の跡が垣間見られた。
今日は土田プロの解説の言葉と共にそれをご紹介したい。
第2試合

東家:岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)
南家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
西家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
北家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
岡田の成長の跡とは
東1局。ドラは。
優の手がものすごく良い。

配牌イーシャンテン。
ダブルリーチこそ叶わなかったが、仕上がり方によっては早くて高い一撃が見られそうな格好である。
対する岡田。

ご覧のとおり、スピード感は雲泥の差。

2巡目のツモは。
ツモが利かないながらも河に字牌を並べることなく、孤立牌のを切り出していった。
この場面について、土田プロは評価の言葉を述べるのだが、それについては後述しよう。
5巡目の優。

変わらずイーシャンテンのままだったが、ここでを引いて良い形に。
そして次巡、

ソーズが先に埋まってテンパイ。優はもちろんシャンポン待ちでリーチを放った。
その直後の岡田の手がこちら。

一発目にをツモり、手に残していた
が今にも切られそう。

ひとまず現物のを切って一発放銃は回避したものの、次巡にはこれが捕らえられてしまう。


裏ドラは乗らず5,200の失点も、土田プロはこう解説している。
「見方によってはを持ちすぎたと見る人もいるんですけど、僕は
をあの巡目まで引っ張った岡田が成長していると思うんですよ。」