二人の間のベルトコンベア
〜松本吉弘の悲劇、そして
内川幸太郎の快勝劇
文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2025年11月14日
その昔… 私がまだ二十代の若者だった頃だから20年以上前のこと。
私は週末になると札幌で2つ上の先輩と麻雀を打ち続けていた。
理由はただ一つ。
その先輩には本当に勝てなかったから。
今日こそはその先輩を超えたいと打ち始めるのだが、私の点棒は先輩の点箱に吸い込まれていく。
悔しかった。
「お前と俺の間にはベルトコンベアがあるんだよ。」
負けて悔しがる私の様子を見て、先輩はそう言って私をさらに悔しがらせた。
とても性格の悪い先輩だった。
しかしその反面、私のことをとても可愛がってくれたし、その悔しさがあったからこそ少しは麻雀が強くなれた気もする。
今では感謝しているが… やっぱり性格は悪いな、うん(笑)。
人と人には「相性」というものがあるように、打ち手と打ち手の間にもそのようなものがもしかしたらあるのかもしれない。
今日のこのゲームを眺めていて、先輩に叩きのめされていた苦い経験を思い出さずにはいられなかった。
第1試合
東家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
南家:浅見真紀(赤坂ドリブンズ)
西家:逢川恵夢(EARTH JETS)
北家:内川幸太郎(EX風林火山)
これらはこの卓で戦う選手それぞれの配牌。
さて、誰の配牌が一番アガリに近いだろうか?
比較的まとまっているのは浅見と逢川。
中でも浅見は![]()
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と
が暗刻で2メンツが完成している。
そして楽しみなのが逢川。ピンズのホンイツへ手が伸びれば東1局から大きなリードを築くことができそう。
解説の石橋伸洋プロの見立ても同じような感じだった。
「内川さんだけ少し時間がかかりそう。」
とは、配牌をご覧になった石橋プロの印象。
だが。
を引いて、
浮いていた
に
がくっつき、
そのメンツが即座に完成。
これまた浮いていたドラの
が
を引いたことによってリャンカンになって使える形に。
手順で残していた自風の
が重なって門前良し&仕掛けて良しのイーシャンテン。
そして、
8巡目、誰よりも早く聴牌を入れて充実の即リーチ!
たった8巡で三者を追い越した内川だったが、そこへ突っかかったのが松本。
宣言牌の
を両面チーでタンヤオ赤のテンパイ。
手格好的にこのチーテンが満足いくものではなかっただろう。
幾度となく手出しを繰り返していた内川の様子を見てたまらず対応した、というところだろうか?














