麻雀最強戦2018
ファイナル観戦記①A卓編
前原、達也、仲田、
そして…平成最初の王者・
片山が挑む平成最後の栄冠
【ファイナルA卓】担当記者:ZERO
「麻雀最強戦」は平成元年に始まった。その第一回の優勝者がこのA卓に降臨する。
片山まさゆき。
紹介は不要であろう。「打姫オバカミーコ」を読んで麻雀を勉強した、という人もいれば、「スーパーヅガン」の豊臣君にツカなさに共感したオッサ… いや、オールドファンもいるだろう。かくいう私も「ノーマーク爆牌党」に熱狂した1人だ。
片山まさゆきは、これだけの大先生にも関わらず、とても腰が低く、気さくで、常に微笑みをたたえている。とても話しかけやすい人だな… これが私の第一印象だった。
平成最初と最後の最強位奪取なるか。片山の戦いは今始まる。
A卓はこのようなメンバー。
東一局、親番で始まった片山は
このテンパイで切りリーチを打つ。
片山マンガが、いつの時代でも多くのファンに愛され続けてきた理由は、片山の雀力に裏付けされた闘牌シーンがあり、氏の性格を表すような優しくてコミカルな絵があり、そして時代の流れを敏感に取り入れている部分にある。
「牌賊!オカルティ」が良い例だろう。
「牌賊!オカルティ」は、デジタル・オカルトという概念で麻雀界が揺れているさなか(西暦2000年)に連載された作品。作中の要である「オカルトシステム」という言葉を未だに口にする人のなんと多いことか。他にも「オーラ打ち 言霊マンボ」という作品では、今をときめく多井プロを主人公に物語を描いている。これが現在ならなんとも思わないが、多井プロがタイトルを取る前(2006年)というのだから、その時代を先取りする感覚はさすがとしかいいようがない。他にも各作中の細かい部分でとにかく流行を取り入れようとしているのを感じる。
「今でも若いプロ達とセットを組んでもらって練習しているんですよ。トイトイダッシュのZEROさんですよね」
…まさか私のことを認識してくれているとは。片山まさゆきと言えば、メンゼン・好形・高打点・守備型… というイメージだが、勝手に型にはめて考えていた自分が恥ずかしくなった。片山は今もなお時代に沿った戦術を勉強し、その麻雀を進化させているのだ。
周りをおろした後、ゆっくりツモって2000オール。
赤ナシ麻雀において、親のリーチドラ1は狂暴である。これよりよいテンパイになる手変わりが限られている以上、この手は即リーチの一手だ。
次局、Mリーガー前原が
リーチ一発ツモ裏1という実に効率のいいマンガン。
この手、実は6巡目打のところで、一度カンのテンパイを崩している。
ドラを切れば、マンズの4~9でテンパイし、イッツーも狙えて打点も見込める。テンパイを外すのは当然だろう。しかしをツモったことによって
打点が大幅にアップする手変わりは望みにくくなった。それならば場況のよいでさっさとリーチを打った方がよい。
「機を見るに敏」とはまさにこのことだろう。
片山と前原の先制で戦いは幕を開けた。
印象的だったのが東3局だ。
まずは「必殺!麻雀ラリアット」仲田加南が
ここからと切り出し、明らかなるホンイツ狙い。
そして片山はこの手牌。
ドラはなのでチャンス手だ。平面なら打としてチートイツも残すことを考えるが、片山はを切った。
「仲田プロがソウズということもあり、弱い部分を補強した方が良いと思いました。この手でチートイツは考えません」