常に正解を吐き出す…いばらの守備型エース 多井隆晴の息詰まる「選択」【熱論!Mリーグ】担当記者:渡邉浩史郎

ベタ降り。どうせテンパイ止まりで、打点も高くない。安全牌はたくさん持っている。東1局のフラットな状況で、取れるかどうかも怪しいテンパイ料のためにリスクは冒さない。この局はノーテン流局。

【東2局】

5巡目、ドラのが浮いたイーシャンテン。色々な選択があるが……

多井の選択は打。遠くに三色やホンイツの高打点を見つつ、強い浮き牌を残して形を作り直しに行った。

11巡目にはこの形、

の強い待ちor高打点のイーシャンテンになった。多井の高い和了率を生み出している所以がよくわかる選択となった。

15巡目にこのテンパイ、

生牌でドラのを切れば待ちのテンパイだが、既には多いから目に見えて存在しない。残りツモ2回ということも考えると安全度重視で切りかと思われたが……

ここは切りでリーチといった!!

がなくてもの待ちが十分いいと踏んだのだろう。打点こそ高めメンピンだがここは勝負をかけた。

宣言牌のが親の寿人にポンされるも、この局も流局。

【東2局1本場】

上家の石橋のポンが入った局面。露骨にマンズの染めての河だが、既に生牌を打ち出してきている。ここでもいろいろな選択があるが、多井が選んだのは……

!ドラ受け両面を固定する。石橋に対しての先切りも含めての意図だろう。

次巡引いてきたのは。ここは……

!またしても石橋に対しての先切りだ!

ここで大事なのはも自分が二枚持っており、石橋にポンされにくい牌であるということだ。石橋の下家である多井の立場からすれば、ポン→ロンはあってもチー→ロンはないため、チーされやすいであろう牌は、ポン材よりも先に切る必要があるのだ。そのためにも先切りしていない。

実際に石橋にはのポンテンが入る形であった。

見事なポン材絞り・チー材先打ちを見せてくれた多井だったが、この局は石橋のアガリ。

【東3局】

寿人の先制リーチを受けて、苦しいながらもタンヤオ・赤のイーシャンテンの多井。

カンが鳴けてテンパイ。待ちは悪いが一応現物待ちだ。

は無筋だが、プッシュ。

このは……

を切って降りに回った。現物は他にもあったが……

多井がこの局注目していたのは石橋だ。寿人のリーチに対して目立つ牌を切っているわけではないが、それでも筋を切って押してきている。

石橋はを切っている。が四枚見えているため、自分から三枚見えているが当たるケースはほとんどない。

しかしその後も石橋は現物をツモ切り続ける。

そんな情報が与えられない状態で、このテンパイになってしまえば……

流石の多井もを打った。

なんとこれが石橋の当たり牌。三色・ドラの7700だ!多井がの対子落としをした時点で既に張っていたのだ。

恐らく多井の中では今通ったを切って、完全に降りる選択も大いにあったのだろう。多井はを切るかどうか、石橋の河を見ながら悩んでいた。

【南1局】

好配牌をもらった多井。4巡目でを手放す。この手格好で使いにくい赤にこだわるよりは、瞬間の三暗刻テンパイと一手替わりのピンズの一気通貫変化を見るために、目一杯のイーシャンテンに構えた。

黒沢の派手な河の親リーチを受けて、多井もテンパイ。切りリーチ、切りリーチ、切りダマなどがあるが、多井は……

切りダマを選択。点棒状況的に親の黒沢のアガリはなんとしても阻止したいが、一発で無筋を押している寿人も気になる。また、自分の手は一手変わり四暗刻の目もある。それらすべての要素を多井の中で検討した結果が、切りダマなのであろう。

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