世界を覆う闇を吹き飛ばすドリブンズ・村上淳の開幕リッチラッシュ!【Mリーグ2020観戦記10/6】担当記者:ZERO

結果、この局は3者バチバチの戦いの中…

村上のツモアガリで決着した。

しかし私が一番印象に残ったのは、実はこの3人ではない。

1人蚊帳の外だった、渋谷ABEMAS多井隆晴だ。

時間を巻き戻し、この局の多井の配牌を見てもらいたい。

一打目を見ると、が切られている。

はドラがだし、678の三色まで見えるキー牌だ。

多井は当然分かっていてやっている。この時点で既に守備を意識しているのだ。

すでにが2人に安全と言える。

それにしても、これより悪い配牌で役牌から切り飛ばしていった村上とは対照的である。

「弱気過ぎる」とも見てとれる。

しかし私はここまで徹底できるのは逆に凄いなと感じる。

正しいのかどうかは分からないが、誰にも真似できないことはたしかだ。

開幕を任され、今季も頼むぞと監督やチームメイトに背中を押され、全国のファンが見ている中で、このを切ることって弱気な姿を見せているようで、めちゃくちゃ勇気がいる。
もし678に仕上がったとしたら、批判も殺到するだろう。

それでも、多井は優勝を目的に据え、守備に徹した。

3人が前のめりに突っ込んでくることを予見しているかのようだ。

(はいはい村上さんりっちね。

石橋さんも追っかけね。

近藤さん、やってんな。)

と。

開幕前のインタビューでも「2位でいいです」と答えていた。

さて、静かな多井を横目に、この局からは村上劇場が華々しく幕を開けた。

親番を迎えた村上がリーチ・ツモの1000オールをアガリ、迎えた1本場。

東2局1本場

このテンパイ。
村上は一息ついて熟考に入った。

リーチかダマかで迷っているかと思いきや、それに加えてを切るかを切るかという選択もある。下家である近藤の捨て牌が

となっており、各色下のほうが切られていないからだ。

もしかしたら123や234の三色があるかもしれない。

じゃあ近藤の三色をケアしてを切るかというと、誰もを切っていないのでなどに放銃したら目も当てられない。を切ることで河が弱くなる。(通される牌が多くなる)

ここらへんのメリットデメリットを比較した上で、村上は切りダマと構えた。

村上の読み通り、近藤の手牌は

123の三色だった!を123でチーして打でしかアガれないが、ドラが3枚あるのでマンガンのテンパイだ。

これを見た村上が

じゃあリッチと被せる!3局連続となる「開幕リッチラッシュ」だ!

仕掛けた近藤の捨て牌に、村上の待ちであるが置いてある。

近藤の仕掛けをケアした他家からがこぼれるからダマにしたほうがいいのでは?
と思う人もいるかも知れない。しかしそれは間違っている。

たしかにそういった側面もあるが、それは我々が近藤の手牌を見ているからそう感じるのだ。
実際に打っている他家から見たら、カンをチーしただけのテンパイも打点も不明な仕掛けである。

無視されたり、「今のうち」と通っていない役牌などを切ってくることはあれど、いきなりこの仕掛けにど真ん中のを抜いてオリることはなさそう。

つまりの出現率は思ったよりも上がらない。

そして村上のようにリーチを打つことによって、近藤にこれ以上前に出てこさせないことでのアガリ率上昇が見込める。

押さえつけによる

アガリ率上昇+打点>ダマテンによるアガリ率上昇

と判断したのだ。

そして、村上のリッチを受けた近藤もひるまない。

ツモってきた超絶危険なを音速でツモ切り。近藤は迷う素振さえ見せなかった。

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