アガリの連射で勝利をこの手に 苦境をはね除けた逆襲のヒットマン・松本吉弘【Mリーグ2020観戦記10／19】担当記者：東川亮

ホンイツ七対子という勝負手のイーシャンテンだった滝沢がを放銃、裏ドラが1枚乗って8000は8900と、まずは前局の失点をリカバリーする。

この手は結果的に、カン受けを外さない限りは同じようなアガリになっていたと思われる。

とはいえ切りは、点棒を失った中でも松本が冷静に場を見て判断できていることを表しているように見えた。

南1局、滝沢が早々にを仕掛ける。

滝沢は安い仕掛けが少ない打ち手であり、実際にここではドラ3赤の大物手が入っていた。

 

それは松本も分かっており、慌てて愚形のイーシャンテンは取らず、滝沢の現物を残しながら手を進める。

そして安パイを残しながら、巧みにリーチまでこぎ着けた。

ここまで来たら、真っ向勝負だ。

 

このロン牌を滝沢が一発で掴んで放銃、5200。

にわかに、松本への追い風が吹いてきた。

南2局、松本の親番。

3巡目で村上がイーシャンテン、そこからタンヤオへと移行し、鳴きも使えるシフトを組んで松本の親を蹴りにいく。

一方の小林は6巡目に打たれたをスルー。

鳴いたところでメンツが一つもないという不安定な形だけに、守備力を担保しての進行となる。

村上のという切り出しにスピードを感じたということもあったか。

松本は8巡目で七対子のイーシャンテンに。

ただ、七対子のテンパイはここから時間がかかることが多い。

そして村上は松本の打をチーしてカン待ちテンパイ。

アガればミッションクリアだ。

そこに滝沢がリーチをぶつけてきた。

村上としてはラス目の滝沢がアガる分にはそれほどデメリットはない。

無スジのを引き、あっさりとテンパイを崩す。

小林もホンイツ七対子のイーシャンテンだったが、状況的はアガリよりも失点を防ぐことが優先だ。

ただ、滝沢と競っている松本は簡単にはオリられない。

を引いたところで少考し、これをツモ切り。

ドラのは滝沢の現物で、これを切って安全にイーシャンテンをキープすることもできたが、ドラ表示で1枚見えているとはいえ、あえて通っていない牌を切った。

を他の二人が合わせていないということで、まだ山に残っていると判断したか。

理由はともかく、打点を追った攻撃的な選択である。

松本はリーチ宣言牌の隣となるも押し、を重ねてテンパイにこぎ着けた。

待ちをに受けたが、は前巡に村上が少考から切り出した牌であり、ここまで生牌だったことからトイツ以上からの切り出しを読んで狙うこともできた。

しかし松本はドラ待ちで勝負をかけた。

チャンスがあるなら、より高くして仕留めようということだろう。

勝負どころのめくりあい。

松本がこうした場面で相手のロン牌を掴んで放銃、あるいはオリにまわらされる場面は、幾度となく見てきた。

しかし、ここでの結末は違った。

松本の読み、狙い、そして思いが結実したツモ。

ホッとしたかのように息を吐き、ツモ七対子ドラドラ赤、6000オールを申告する。

怒濤の3連続アガリで、気がつけばトップに。

しかし、ヒットマンの銃撃は止まらない。