この男は放銃してからが強い!
新井啓文の逆転劇、
そして2位は誰の手に
【B卓】担当記者:東川亮 2020年12月13日(日)
「強い者が勝つのではない、勝った者が強いのだ」
サッカー界の伝説的選手、フランツ・ベッケンバウアーの言葉である。
いくら御託を並べようと、過去の実績を誇ろうと、勝つべきときに勝てないのであれば「最強」とは呼べない。
勝負事は、最終的には結果が全てだ。
常日頃から修練を重ねているのも、今、目の前の戦いに勝つためだ。
その意味では、一戦必勝が求められる麻雀最強戦ほど、最強を決めるのにふさわしい戦いはないのかもしれない。
最強位への挑戦者は、いよいよ8名にまで絞られた。
ファイナル最終日・B卓にはいずれも最強を名乗るにふさわしい打ち手がそろったが、頂への挑戦権を得るのは、わずかに2人だけだ。
堀江貴文。
1stStageでは堅実な打ち回しを見せ、放銃なしで2位通過を決めた。
麻雀最強戦に向けては名だたるトッププロを招いて特訓を積んできたとのことだ。
卓越した頭脳で麻雀を紐解き、決勝卓進出を目指す。
新井啓文。
代理出場からあれよあれよと勝ち上がり、ファイナル2ndStageまでたどり着いた。
勝ちへの執着よりも己の麻雀を打ちきることを信条とする打ち手。
無欲の打ち回しが、勝利をたぐり寄せる。
三浦智博。
レジェンド・荒正義の推薦で出場した「次世代プロ集結麻雀代理戦争」を勝ち上がり、ファイナル1stStageでは多井隆晴・二階堂亜樹・鈴木大介という厳しい卓に自ら飛び込み勝ち上がった。
推薦人の荒は第10期最強位となっている。
伝説を受け継ぎ、新たな最強位として歴史に名を刻めるか。
井上絵美子。
2014年には「最強戦ガールズバー」のメンバーだった打ち手が、選手としてファイナルの舞台にたどり着いた。
激戦の1stStage・D卓を逆転で勝ち上がり、勢いはさらに増している。
二階堂留美以来となる女性最強位の誕生に期待だ。
東家:堀江 南家:新井 西家:井上 北家:三浦
親の新井がをポンしているが、直前に切ったドラのには声をかけておらず、逆に押し返しやすいと踏んだか。
これに対し、の片アガリテンパイを入れていた新井が放銃。
2600は2900、まずは先制のジャブを当てたという感じか。
東3局、新井は、と仕掛ける。
捨て牌ははっきりとマンズのホンイツ模様だが、まわりからは嫌な仕掛けだろう。
ただ、手をスリムにしているということは、防御力が低下しているということでもある。
三浦が平和の待ちのヤミテンを入れると、
ドラ 引きで打点アップ。
さらにを引いて一盃口の形になると・・・
打たれたを新井がポン。
こうなればは止まらない。
新井から三浦に連続放銃、しかも今回は8000と打点も伴っており、新井にとっては痛い失点となってしまった。
ただ、新井は放銃についても「ちゃんと攻めた結果であれば良し」と割り切っている。
そして彼は前日の1stStage、その前の「プロ雀士ランキングベスト16大会」でも、放銃から巻き返して勝ってきているのだ。