為す術なし! 対局者を消化不良にさせる堀慎吾の場を支配する力【Mリーグ2020観戦記2/22】担当記者:山﨑和也

さてここが筆者の驚いたポイント。堀はテンパイしたようだ。萬子の字体が見えるのでを切ればいいのだが、どちらを切るか。

堀の選択はを切っての単騎待ちリーチだった。ほとんどノータイムの決断。通常、チートイツといえば字牌で待つのがセオリーだ。だが堀は「どっちもそこまで自信がなかった」、「簡単に打ってくれるわけではないので山にあるほうを」ということで単騎に受けたのだという。

とはいえ、とはいえよ堀さん、字牌なら出してくれそうって思うじゃないですか。この選択はなかなかできないのではないか。ズバリ読み通りは山に3枚あった。「ひじょ~にうまく打ちましたね」と土田プロも太鼓判を押す。

そして見事ツモアガった。これはすごい。早めにを切って横との天秤にかけず、真っ直ぐチートイツに向かったところからすごいし、最後の待ち選択もすごい。語彙力がなくなるほどすごい。

リーチツモチートイツ赤で2000―4000のアガり。思わず裏ものせてあげたくなるような美しい手順であった。

東4局

親は村上。ここまで我慢が続いている。それでも23000点で耐えているのが実力の高さを物語る。

配牌で2面子できており、ようやくリーチが打てそうな手を得た。

対抗馬は萩原。メンタンピンにまとまってほしいところ。

なかなかすっと急所が埋まらずに手が滞っていたが、萩原がようやくテンパイ。ここはを切ってダマテンにした。を引けば打で打点大幅アップ、カン待ちではそもそも不満ということもあるだろう。

村上は789の三色を作ってあとはどう仕上げるかという状況になっていた。頭のない両面2つのイーシャンテンでよくある、単騎待ちのテンパイに。ここは打としてひとまず単騎に受ける。

続いてのツモは。うーん悩ましい。裏目ってはいないのだが妙にしっくりこないので流れの悪さすら感じる。三色が崩れる可能性もあれど打ダマテン続行。

待ちにした。

萩原は狙い通りドラのを引けて文句なしの十分形になった。これよこれ。すっと打。しかしここでもリーチはかけなかった。すでに打点があったのでダマで仕留める画策か。このウルトラ大チャンス時にリーチをかけてしまうと、オリられて流れてしまう懸念もある。筆者は冷静でいいじゃないかと思った。

重々しい空気のまま流局かと思われたところで、村上が残りツモ番1回のタイミングでツモ切りリーチをかけた。1000点を払ってリーチ一発ハイテイの可能性を夢見る。

それを見て萩原も追っかけツモ切りリーチ。これも常套手段の戦術だが、それまで冷静だったのが急に喧嘩腰になるようで筆者は好きである。萩原の迫真の闘牌も相まって、観客はスタンディングオベーションだ。

結果は流局に終わった。あれ、そういえば前もこんなシーンがあった気がする。ツモり四暗刻VSメンチン三倍満のときだ。ちょうど同じ対局者なのも何かの縁だろうか。

東4局1本場

獰猛なふたりを鎮めるかのように堀が静かに発進する。の対子を武器に一をポン。打とした。

肩が温まった萩原に、またもやチャンス手が入る(打)。

小林も両面2つのイーシャンテン。堀よりも戦えそうな手が2人に入っていた。

その小林から出たを見逃さずに堀がポン。

あえてドラが絡むほうのターツを払いにいった。打は興味深い。が場に1枚見えているとはいえ、ドラ表示牌のよりものほうが鳴きやすくアガりやすいということだろう。

をツモってテンパイ。ドラを切って待ちになったが、これは周りから読みづらいようだ。カンチャンのドラ含みターツを払っているので両面待ちに見えるのだが、自らがをポンしているのでが盲点になる。トイトイにしても萩原の出したをポンしていないので否定されそうだ。……うーんなるほど。

いろいろと考えてしまったが小林も追いついた。打待ちのリーチ。こちらは周りの状況が関係ない手格好なのでわかりやすい。リーチをかけたあとも、堀の手は気にしていなかったかもしれない。

萩原も追いついた。すぐさま追っかけリーチ。待ちは。小林のともに山には5枚残っており、どちらが勝ってもおかしくなかった。

一気に戦場と化したが、堀はの安全牌があるのでオリられる……ではなくドラのを押した。勇ましい。萩原に両面には当たらない牌だが小林にはまったく通っていなかった。理由を探っている間もなく決着する。

萩原がをつかみ、小林のアガりとなった。リーチピンフドラ1。3900は4200点であったが萩原の勝負手をかわせたのは大きく、再びトップ目に返り咲いた。萩原は苦しい。

南1局

小林はさらに点数を稼ぎたい。南1局ではセーフティリードまで程遠い。手はまあまあか。

1打目にを切っている堀がダブをポン。打とし、ホンイツをちらつかせる。部分的には普通の動きだが、これを筆者がやるのと堀がやるのとでは印象が大きく違うように見える。堀には何かしらの絶大な根拠と自信があるように感じるのだ。

小林は早々にカンでテンパイできたがリーチはかけず。筒子の場況がいいので放っておけば出るという算段か。もちろん足止め先制リーチも考えられた。土田プロは「堀を相当リスペクトしていますね」と話す。いやはや、存在感が強い。

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