雷電のMリーグは私が終わらせない! 黒沢咲が終末の戦場で放った魂のリーチ【Mリーグ2020観戦記3/8】担当記者:山﨑和也

ゴールまであと2局。次の黒沢の親番は是が非でも落とさなければならない。心なしか小林の視線が鋭く感じた。

南3局1本場

ここまで連荘がなく、淡々と終局を迎えようとしている。黒沢は抗えるか。配牌はなかなかよい。

ひとつポイントはを鳴くかどうかだが、ここまでMリーグを見てきた方にはもう予測できるだろう。おそらく黒沢は鳴かない。

黒沢から出たを小林がポン。黒沢にとって嫌な攻撃がきた。

上図の手格好ながら河に字牌が出ておらずプレッシャー十分。は残して打と形を決めた。

続いてをポン。これで打とし目いっぱいに構えた。ここが最大の攻めどころと判断。いよいよ黒沢を、雷電を追い詰める。

ただ、黒沢もイーシャンテンだった。ドラはないが789の三色が見える。小林の状況もあるので(黒沢にとって)衝撃の1500点確定のポンだって辞さない。

手牌の短くなった小林。ここからは細かい手順を紹介。ここでをツモってと入れ替えた。ドラのは手放さない姿勢。

続くを引いたがこれは切らずに打。鳴きやすい両面の形は残して再び目いっぱいに構えた。微妙な比較だが参考になる詰め方だ。フリテン形になるものの、それを逆手にが上家から出やすくなっている。

黒沢目線だと手出しばかりで鬱陶しいことこの上ない。その中で黒沢も冷静な判断を見せていた。をツモって打と両面形を外す。が小林にポンされ、藤崎の河に1枚切られたのでなくなっていたのだ。

どちらもイーシャンテン。先にテンパイが入ったのは小林だった。が埋まって打のシャンポン待ちだ。と切ったのでほんの少し待ちが薄れている。

苦しくなった黒沢だが、ここで持ち味の暗刻作りが出た。を切ればのシャンポン待ちである。しかしめちゃくちゃ苦しかった。というのも

藤崎がわかりやすく萬子のホンイツを目指していて、全体的に萬子が高かったのだ。小林だって萬子待ちかもしれない。

しかし黒沢は迷った素振りを見せず即リーチ。苦しみながらも脅威の親リーチをかけることができた。

小林にとっては恐れていたことが起こってしまった。自身は真中のシャンポン待ち。2つ鳴いているので受けも少ない。分が悪いと感じていたのではないだろうか。

もう引き下がれない。通っていないを切って勝負をかける。自身の手は満貫。たとえ自信のない形でもいくしかない。

それは黒沢も同じだ。どちらのシャンポン待ちが勝つのか。

を引いて選択肢が生まれた小林。を切れば両面待ちに変化できたが、現物のをツモ切った。

続いて黒沢の当たり牌のを掴んでしまった。の筋なので通りやすそうだったが、そうはいかなかった。

黒沢の手牌が開かれた。リーチ中の3900。

この時、小林の口元が動いて「えっ」と言ったような気がした。ほーんの少しだけ驚いているように見えないだろうか。四暗刻単騎に振り込んでも無表情だった男がかすかに動揺した様子を見せた。冒頭の内川のように最終盤は気持ちが出るのか。胸にくるものがあった。

小林としては裏が乗っていたら大惨事だったが何とか踏みとどまった。黒沢は望みを繋ぐアガり。もう3900でお安いわねと言っていられるような余裕の状況ではない。

南3局2本場

なんと。黒沢は配牌でイーシャンテン。祈るように山に手を伸ばす。

力を込めて引いた牌は超絶好のだった。

のダブルリーチ!これまでの悪い流れや不運を吹き飛ばす強烈な一撃が出た。

ほんの少しげんなりした様子の小林。今度は追い込まれる立場となった。

がぽつんと浮いている。手の進み具合によっては出てしまってもおかしくない。

もう1人危ない者がいた。藤崎だ。こちらはが浮いてしまっていて、よりもくっつきにくい。

小林は繊細に牌を切っていく。は自身のの壁で当たりにくい。

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