雷電のMリーグは私が終わらせない！ 黒沢咲が終末の戦場で放った魂のリーチ【Mリーグ2020観戦記３／８】担当記者：山﨑和也

手の内からひょいとドラのを切った。これはもう忍べていない。特上の危険信号サインだ。そしてドラよりも価値のある牌を想像すると、が思い浮かぶ。ほかの３人は掴んだら絶対に切れなくなった。

よって堀はリーチをかけず、ダマテンでかわしにかかった。いま切ったは藤崎に筋の牌。単騎になって待ちが悪くなってしまったが

藤崎が掴んでしまった。さすがにと入れ替えることはできない。を切っての2000点テンパイではさすがに不満だった。

堀がタンヤオ赤の2600点でかわすことに成功した。忍者のお株を奪うアガりであった。

東３局。

親の黒沢。冴えない配牌から筒子のホンイツ、チャンタ、うっすらチートイツが狙える手にまで育てた。

堀がをポン。1000点の可能性が濃厚ながら、残った形がよいので十分アガりが見込めそうだ。２局続いてかわしにかかる（打）。

このあと絶好のを引いて待ちになり、黒沢の手に浮いていたを捉えて2000点で局を終わらせた。堀さん、貴重な親番を流さないでとPirates、雷電ファンの嘆きの声が聞こえるようだ。

東４局。

親番は藤崎。１枚目のを鳴いていく。ドラと赤が２枚あって満貫あるので、誰でもポンの一手だ。

小林は１２３の三色が見えるイーシャンテン。ツモったドラを平然と切る。

を引いてテンパイ。ただ、待ちはペンで悪い。鳴いている藤崎も不気味だ。もし12000点の手に振ったらどうなるか。これ以上の形がないと理屈でわかっていてもちょっと尻込みしてしまう。

小林にそんな感情は微塵もなかったか、当然のごとくペンチャンでリーチをかけた。ダマでもアガれるうえに5200の打点もあるが、それでもリーチ。確かにダマにしても以外の牌はすべて切ることになりそうだ。ならば満貫を確定させるほうがいい。

地味ながらリーチを受けた堀の選択が面白かったのでプチ紹介。ここでを切ればテンパイだが通っていない。何を切るか。よく見ると安全牌はゼロ。

を選択した。へぇ～である。これはリアルタイムでは理由がわからなかった。執筆中にが早い、通れば２枚通せる、待ちなのにを切ってまでを残さないという推理をしたのだが、どうだろうか。

結局を切らぬまま安全にオリていった。ドラもなかったので見合わない勝負だったか。

しかし終盤でしれっと形式テンパイにとった。いやはやお見事。ん、いかんいかん、ふたりを差し置いて堀が主役の座を奪おうとしているではないか。でもこれが堀のすごいところである。

黒沢も粘っていたのだが、中盤から字牌が河に並んで進まず。

堀は当たり牌のを見てすぐさま止め（打）。この判断をノータイムでしていたのが格好よかった。常人は場を見て惜しみながらオリそうだが、堀レベルになると瞬時である。

薄くなっただったが小林が見事引いた。裏もが乗り、3000―6000のツモアガりに。リーチしていなければ跳満にはならなかった。

南１局。

優勢になった小林。上図からドラのを切り出す。のほうが不要だが、安全牌としての価値が高い。

手が進んでを打ち出した。ここまで整ったなら目いっぱいに構えていくのが自然だろう。

現在３着目で窮地に立たされている黒沢。なかなか手が入らず苦しい。この手はもう見込みがなさそう。字牌のとを残して守備に回った。小林の切りを見てテンパイ気配が近いことを察したのかもしれない。

手が進みに進んで４５６の三色も見えてきた。ここでドカンと満貫以上アガればずいぶん余裕が出る。そう思うと何だかツモの追い風に乗って理想を追い求めたくなる。

それでも小林は冷静だった。終盤に入って三色の崩れる不満なカン待ちになったが素直に受け入れる。しかもダマテン。

すると懸命にテンパイを目指していた黒沢が捕まった。点数はわずか1300点。

たかが1300点のようだが、局を進める大きな価値のある1300点だ。黒沢のいまの放銃なんて誰も止められない不運によるもの。天運は小林にありか。1300点というのもらしいじゃないか。

南２局。

黒沢はチンイツとドラのターツを払う選択を迫られた。待ちリーチを狙うか、それとも確定満貫以上のチンイツを狙うか。これは残りの巡目もまだあるので微妙な感じである。黒沢はドラのを切った。どうせチンイツを狙うなら危険なほうを先に処理したい。しかし。

続くツモで痛恨の引き。しかも対面の堀からリーチまでかけられてしまった。せっかく大物手のチャンスにはどちらも通っておらず、泣く泣く撤退となった。なんだか雷電にとって勝てない流れになってきていないか。

Pirates側としては上々の進行だ。親被りせず、1000点払っただけで南３局に進むことができた。