ここは決勝!リーチ!【伊達朱里紗 桜蕾戦自戦記】

それでも放銃は絶対避けなければならない。

とうとう最終戦だ。

最終4回戦。
東3局、早川さんが仕掛けてドラの【9ピン】をツモって2000.4000。
東4局。親番。
早川さんがトップ目に立つ。
このままずるずると、着順を落とされたり、素点を削られ続けると私の負けだ。
そんな中、5巡目に早川さんから先制立直。
大分きついな、と思っていた中、
123の三色同順をテンパイ。
【3ソウ】は現物だ。
切ることは決まっている。
問題は立直をするかどうか。
ここでの早川さんへの放銃は、あまりにも痛い。
もし5200打てばその瞬間ほんの少しだが逆転されてしまう。
けれど、もしこの7700、ないし12000の手をツモか直撃出来れば。
この上ない決定打になる。
私にはラス親もある。
何より、この言葉を繰り返す。
『ここは、決勝』
前のような、戦えずの、情けない麻雀を打ちたくない。
私の選択は、

立直!
これが結果、真っ直ぐ打った内田さんから一発でのアガリとなる。
立直、一発、三色同順の12000。
これが優勝への決定打となった。
そして本当に長く苦しい南場をかわし、最終局。
早川さんは役満ツモ条件。内田さんと中田さんはさらにきつい条件。

伏せれば終了。優勝だ。

1番最後のハイテイのツモ番。
早川さんにテンパイが入る。
しかし、早川さんは手牌を伏せた。
私が手牌を伏せて終了なのだから、テンパイ宣言をしないのは当たり前かもしれない。

それでも、この対局を綺麗に終わらせようとする、早川さんの麻雀プロとしての美しさに泣きそうになった。


早川さんも、私と同じ29歳。

最初で最後の桜蕾戦だった。

 

全員が、絶対に勝ちたかった。
それでも、対局が終わった瞬間、全員がおめでとうございますと言ってくれた。
私はこれから、桜蕾戦の優勝者として、大きく花咲くことができるようさらに努力を重ねていきます。

改めて、このような素晴らしい機会を発案してくださった瀬戸熊直樹さんはじめ森山茂和会長、先輩方、そして戦ってくれた選手の皆様、ありがとうございました!

頑張っている人全員が、どこかで大きく花開きますように!