寿人にとって10月26日は何の日? 役満の日、通算100回目の出場、それとも…【Mリーグ2021観戦記10/26】担当記者:江嵜晋之介

その後、【7マン】をツモ。打【3ソウ】とする。

【5ソウ】としておけば、裏目の【4ソウ】を引いてきたとしても【8マン】【9マン】落としでタンヤオをつけることができる。ただ【6マン】【6ソウ】などを引けばまだ三色が狙えるためギリギリまで【5ソウ】を残す(もちろん【赤5ソウ】引きも嬉しい)。

ただこの選択が裏目となる。すぐに寿人が切った【7ソウ】【9ピン】ポンから仕掛けていた魚谷がポン。

北家なので役役トイトイのイーシャンテン。欲しい牌は【5ソウ】【北】【白】

そして不運なことに、【5ソウ】が浮いている黒沢が【北】を引いてしまう。

余剰牌がどちらも魚谷が欲しい牌。【5ソウ】【7ソウ】がポンされてしまったため、かなり使いづらくなってしまっている。すぐに切られた【北】をポン。

黒沢の余剰牌をキャッチできるテンパイへ。黒沢は手が進むと放銃してしまう苦しい展開になる。すぐに魚谷がアガるかに思えた。

だがこの局、寿人が黙っていなかった。

10巡目、槓子になった【8ピン】を積極的にカン!

前巡に【8マン】を切り狭く受けていたので、このカンはかなり意外だった。【7ピン】が3枚見えており全員に比較的安全であるため1枚切って様子を見るのかのように思えた。
だが寿人はここで攻めのスイッチを入れる。そしてこのカンにより、寿人の手に対子であった【3マン】がドラになる!

一気に勝負手だ。そしてあっさりと【4ソウ】を引き…

ノータイムでリーチをかける!
【8ピン】カンからここまでわずか十数秒、展開の速さに見ている方もついていけない。

このリーチにより、魚谷へ放銃寸前だった黒沢の【5ソウ】が止まる。

そしてなんとこのリーチ、シャンポンの待ち牌【3マン】【6マン】4枚が全て山に残っていた!

高目満貫(【5ソウ】【白】待ち)のテンパイを入れていた魚谷との捲り合いになるが、途中で魚谷はギブアップ。

そして見事【6マン】をツモり、リーチツモタンヤオ三暗刻ドラ3の倍満を成就させる!

そうだよ…! これが見たかったんだよ…!

私は思い出していた。確かに寿人は守備面でもよくファインプレーを見せてくれる。
だが私が見たいのはこういうアガリだったのだ。「麻雀の理不尽さを全部詰め込んだようなアガり」を見せてくれるからこそ、佐々木寿人という選手に魅かれるのだ。

その後も大物手が飛び交う展開となるが、倍満で作った点数差を逆転するまでには至らず、寿人のトップにて終局となった。

コナミとしては本日、滝沢・寿人両名が通算100戦目で連続トップ。さらにチームとしてもメンバー全員で4連勝と正にメモリアルづくしの1日となった。

寿人個人としても今シーズンのマイナスを完済しプラス域に。
元を正せば役満の日も、2018年に寿人が7種の配牌から国士無双をアガったところからスタートしている。マイナスが続く厳しい中でMリーグ初トップを取った記念すべき日だ。

そう、10月26日は「魔王のエンジンがかかる日」でもあるのだ。

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \近代麻雀新刊&おすすめ/