4本場、伊達ちゃんは3巡目の切りから手牌を中に寄せていくと、これがタンヤオチートイツ赤のテンパイに仕上がる。は山に残り1枚、これもアガってしまうのか?
を引いてタンヤオリャンペーコーに。マジで? とはいえこっちも山に1枚。
もちろん、他3者としては一刻も早くこの親を蹴りたい。魚谷が絶好に見えるカン待ちでリーチを打つと、直後、タンヤオドラ3のダマテンに構えていた勝又の手が高目三色になり、追っかけリーチ。特に勝又のリーチは高目が1枚、そして安目が山に全て残っていた。これはさすがに・・・
伊達ちゃんがツモる。前局に引き続き、ラス1のを、当たり前のように。もちろん、本人は当たり前などとは思っていないはずだが。
ツモタンヤオリャンペーコー赤で6000は6400オール。あの勝又健志が手持ちの点棒を払い尽くし、卓外から点棒を借りている。信じられない光景である。
5本場ではを暗刻にして先制のリャンメン待ちリーチ。この待ちがなんと7山。今の伊達ちゃんがこれをツモれないなんてことがあるのか?
いや、ない。一発ツモでの4000は4500オール、もはや言葉ではなく乾いた笑いが出る。
怒濤の6連続アガリで、持ち点はなんと10万点オーバー。思わずカメラが点数表示を抜いた。
伊達ちゃんは最終的に、105500点を持ってこの試合を終えた。過去3シーズン、Mリーグの名だたる打ち手たちが達成していなかった10万点越えフィニッシュを、今年Mリーグに参戦したばかりの新鋭が成し遂げてしまったのだ。
とりあえず、この試合をまだご覧になっていない方は、ABEMAプレミアムで南3局の開始から5本場のアガリまでだけでもご覧になっていただきたい。時間で表すと3:42:10から4:09:40、27分30秒はだいたいアニメ1話分くらいの長さだ。
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筆者は伊達の猛連荘を見ながら、今年伊達に行ったインタビューのことをぼんやりと思い出していた。
「私がアニメの「咲-Saki- 全国編」で演じさせていただいている「上重漫(うえしげすず)」というキャラクターが、相手が強ければ強いほど爆発力が増すという特徴でして、それが自分に当てはまると感じることが結構あります。」
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昨シーズン優勝の立役者であり今シーズン個人スコアトップの勝又、2019シーズンMVPの魚谷、3シーズン連続100ポイント以上プラスの黒沢は、紛れもなく強者だ。そこで伊達の秘めたる力が覚醒したのだろうか。
「最近では攻めの姿勢をしっかりと見せて、攻めて勝とう、という麻雀を目標にしています。最近では見ている方から「女版寿人」みたいな評価をしていただけることがあって、それはすごくうれしいことだ思っています。Mリーグでは「女版寿人」さんのような存在になりたいです。」
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佐々木寿人は今シーズンの開幕式で「卓上を焼き尽くすような麻雀を打つ」と語っていた。過去にそうした試合を何度も見せてくれた寿人だが、この日の伊達の麻雀も、まさに卓上を焼き尽くすようだった。
もはや、異論はないだろう。
「女寿人」
自らがそう呼ばれるにふさわしい打ち手であることを、伊達は自らの麻雀で証明した。
強すぎる…
— 佐々木寿人 (@sasakihisato) November 18, 2021
本家寿人のツイートが、この試合を見た我々の思いを代弁してくれている。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。