道中でも重なる。トイトイも絡めば跳満クラスも見える手に成長してきた。
しかし瀬戸熊も黙って見ていられない。
ドラと赤を抱えたタンピン系のこの手牌。ション牌のも臆せず切っていく。
2巡後にテンパイ。ダマでも満貫、ツモって跳満の大物手。
仲林のソーズの仕掛けにド真ん中のを力強く叩きこむ。
この瀬戸熊の押しには仲林も見て見ぬフリはできなかった。
手出し後のは非常に打ちにくい。
1シャンテンはキープだが、打点も形も大きく後退させられる。
この局を制したのは瀬戸熊だった。
ツモ、タンヤオ、ピンフ、イーペーコー、ドラ1、赤1
3000/6000のツモアガリで2着争いから大きく抜け出した。
辛酸は舐め切った、渋川難波は常に明るく前を向く
南4局
後の無い渋川。連投の采配に応えるべくここは何としても連荘したい所だ。
しかし渋川に突きつけられた現実はとても厳しいものだった。
5巡目にのポンテンを入れていた寿人。
1シャンテンになった渋川からを捉えこの試合4回目のロンアガリ。
全て渋川からのロンアガリだった。
寿人が今シーズン2勝目を獲得。
前回のタキヒサ登板では共に4着、そして今日の第一試合も滝沢が4着とかなり厳しかった流れを見事に払拭してくれた。
真っすぐアガリに向かう基本姿勢は崩さずに、守備、仕掛け、押し引きを巧みに駆使して卓上を支配する姿はまさに「魔王」そのものであった。
そして・・・
試合後のインタビューでは悔しいを通り越して悲しいと語った渋川。
しかしこんな所で挫折している暇はないのだ。
3年前の第18期雀王決定戦にて堀に敗れた渋川。堀は雀王獲得と共にMリーガーへ。
この敗戦から渋川はMリーガーになるべく努力が始まったという。
2年後には堀に先を越された雀王を獲得。
Mリーグレギュラー解説も務め、自身のYouTubeチャンネル「渋川式麻雀通信」は登録者数5万人の人気チャンネルに。
そして今年、先を越された堀の待つKADOKAWAサクラナイツへ加入。
あの日の悔しさをバネにここまで辿り着いた。
昔も今も辛酸は舐めきってきたのだ。
もう退路なんてあるわけない。
初の連投が3着4着の結果だったぐらいで誰が渋川を責めようか。
渋川が開幕前に語った言葉。
チームメイトやサポーターはこの言葉を信じて渋川の初トップを心待ちにしている。
どんな事があっても常に明るく前を見て
対局後の会場をサクラ色に染め上げるその日まで
渋川難波は何度でも麻雀を打ち続けるだろう。
最高位戦日本プロ麻雀協会46期前期。九州在住のプロ雀士。
麻雀と愛猫(ピンフ)を愛してやまない。嫁の小言にはベタオリ気味。
著書:最高位戦コラムFACES
Twitter:@aktk0207