できることは全部やれたか
園田賢、敗北の中で魅せる男
文・東川亮【木曜担当ライター】2022年10月27日
10月27日、第2試合
あえて、書かせていただく。
園田賢は今、大和証券Mリーグで、最も敗北を望まれている男かもしれない。
ただしそれは、彼がファンから嫌われているからでも、憎まれているからでもない。
彼の敗戦は、面白すぎるのだ。それはもう、抜群に。
負け方はバリエーションに富んでおり、今や彼の代名詞となりつつある「なんなん?」に象徴される悲惨な展開は、さながらアニメや時代劇で毎回やっつけられる敵役のような様式美すら感じさせる。そして、敗戦を軽妙なトークで振り返る様は、申し訳ないが見ていて本当に楽しい。今やMリーグの名物コンテンツと言ってもいいくらいだ。
それでも園田は、対局に臨む。
この日はいかにして負けるのか、それとも。
第2試合
東家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
南家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
北家:園田賢(赤坂ドリブンズ)
Scene1「頭ハネなんなん」
東1局
園田の手が珍しくいい。4巡目にしてリャンメン2つの1シャンテン、ピンズに寄せずとも三色や一気通貫が見えるということで、9pを切って手広く構える。
テンパイにならない引きは一気通貫のラストワンピース、打点が担保され、受け入れも広い。うれしいようでそうでもない、いやいややっぱりちょっとうれしい、そんなツモである。もちろん、園田らしくはない。
ドラの引きでテンパイ、一気通貫ドラで5200の打点が確保されたが、待ちは単騎になる。もちろんこれはこれでうれしい、だがこんなでホントにアガれるのかよ・・・
出たー! しかも赤!
「ロン!」「ロン」
!?
発声は園田が先だった。しかし開かれたのは伊達の手、ドラ赤赤の8000。Mリーグではアガリが同時成立した場合、上家のアガリが優先されるため、園田のアガリは無効となる。僥倖の先制満貫が決まったと思ったらまさかの頭ハネ、さすがにこれは「なんなん」案件である。
次局の理牌を行う園田に哀愁が漂う。今日もか。今日もこの仕打ちなのか。
Scene2「追っかけなんなん」
東2局
園田はわずか5巡で先制リーチをかけた。前巡の待ちテンパイから変化しての待ちピンフテンパイは、形的にも打点的にもちょっぴりうれしい。ドラも赤もないだけに、ここはさくっとアガって局を進めたい。
だが、園田の手にドラも赤もないなら、他が持っているということ。魚谷がドラのペン待ちで追っかけリーチ。待ちは悪いがリーチイーペーコードラドラ赤、ツモればハネ満からという大物手。
直後の園田。もう顔が不安そうだ。
さらに次巡、堀も追っかけリーチ、こちらもリーチピンフ赤ドラで満貫確定。
堀のリーチがかかった瞬間の園田。
顔がもう「やめてくれよマジで・・・」と言っている。
嫌な予感しかしない、大丈夫か園田、やれるのか園田。
やれたーー!!
あっぶねー!!
裏ドラは乗らず、打点こそ700-1300だが、いろいろな意味でこのアガリの価値は大きいと感じているはずだ。
Scene3「大チャンスなんなん」
2番手で迎えた、東4局親番。こういうところでひどい目に遭いがちなのが園田賢という男だ。ただ、この局は心なしか理牌がリズミカルである。