たろうの勢いは留まることを知らなかった。
続く南3局の親番、先制リーチから一発ツモで4,000オールを決める。


流局を挟んで南3局2本場では、優がタンヤオドラ3のテンパイを入れ、

渋川がのリーチをかけ、

黒沢が見事な手順で逆転の四暗刻テンパイを入れるも、

たろうが3人のテンパイをかいくぐってアガりをものにする。


たろうの点数はオーラス時には6万点を超え、2着の黒沢と実に28,200点の差をつける。あとは黒沢の親番であるオーラスを流せば今シーズン初トップが確定する−−
しかし、ここから誰しもが予想し得なかった展開が待っていた。
オーラス突入時、総局数は16局目を迎えていた。他の試合と比べればすでにロングゲームと言えるこの試合だが、いったい誰がここからさらに10局続くと予想しただろうか。
13巡目、優がリーチをかける。

リーチピンフドラドラの8,000点が確定している。2着目黒沢と7,500点差なので、ツモはもちろんどこから出アガっても着順アップすることができる。
対して、このとき親の黒沢はリャンシャンテン。
リーチ宣言牌のをポンして速度を合わせる。

優の待ちは山に4枚も残っていたが、黒沢が怒涛の追い上げを見せる。すぐに
を引いてテンパイ。そして優のツモは黒沢の当たり牌である
!


東ドラドラの5,800点を優から出アガる。

これで優との点差は21,100点差になり、跳満のツモでも逆転されない安全圏に入ることができた。ただ依然たろうとは2万点以上離れており、まだまだトップは遠い。
南4局1本場
またしても黒沢に先制テンパイが入る。

赤が眩しいドラドラテンパイ。愚形残りだが迷わず即リーチをかける。
このリーチに対して、手が整う前だった3者はオリを選択。しかし…

12巡目、たろうの手から安牌が無くなった。


選ばれたのはなんと当たり牌の。
と
が通っているいわゆる中筋の牌だが、リーチ宣言牌が
なので
からの
切りリーチは読みに入る。ただ、たろうの目からは
が3枚見えているので
の可能性は少なく、当たる可能性は低い。
しかし蓋を開けてみればからの
切りリーチで、
は関連していないが
が当たるという読むことができない形だった。
たろうにとっては痛恨、黒沢にとっては僥倖の7,700点は8,000点の直撃。この一撃によりたろうまでの点差を5,400点まで縮める。
そして迎えた南4局2本場。結果としてこの局での選択が勝敗を決めることになった。
黒沢が9巡目にリーチ。ドラ1のカン待ち。

同巡、たろうが追いつく。

カンを引き入れ絶好の
待ち。前巡に
ではなく
から切っていればここで黒沢に一発放銃となっていたが、危険牌を先に処理し見事テンパイを入れる。ダマテンに構え試合を終わらせにいく。
そして更に幸運なことに、の場況が非常に良い。

黒沢・優が序盤でを切っており、渋川も
の切りが早いので複数枚は持っていなさそう。実際、この時
は山に5枚残っており、黒沢のカン
は山に残り1枚だった。
黒沢のアガると逆転される状況のため、たろうにオリはない。たろうは静かに無筋をプッシュする。

圧倒的枚数差に、誰しもがたろうのアガりを予想した。しかしここから、たろうにとって不運が続く。
まず、鳴いて試合を終わらせようとしている優がを引かない。

黒沢の現物を打ちつつ回っていた優。たろうがリーチに対して押しているので当然たろうのテンパイも読み筋に入っているだろうが、黒沢のみの現物を切って回っていたところを見るに、恐らくを引いていても切っていただろう。
次にオリている渋川の手が、黒沢・たろうの共通現物に困っていない。

渋川の手にがあるが、共通現物に困っていないため中々打たれない。もし現物に困るような状況になれば
に手がかかっていた筈だ。
そして14巡目。たろうはドラのを引いてくる。