困難の中でも最善を
村上淳、
苦渋の選択で示した矜持
文・東川亮【代打ライター】2022年11月21日

大和証券Mリーグ、2022-23レギュラーシーズン。
11月3週目、赤坂ドリブンズはたろう・園田で3勝を挙げて200ポイント以上を稼ぎ、順位を6位に上げた。

だが、迎えた11月21日の第1試合では、園田が4位に。チームは再び7位に後退してしまう。

第2試合に出場するのは村上淳。昨シーズンは4戦連続で持ち点マイナスのラスを食うなど辛酸をなめ、今シーズンもいまだトップがない。そして現在のチーム状況を考えれば、自分のこと以上に、チームのために勝ってポイントを持ち帰りたい思いは強いはずだ。しかし彼はこの日も、わずか9局で終わった試合のなかで、さまざまな困難に直面することになる。
第2試合
東家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
南家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
西家:村上淳(赤坂ドリブンズ)
北家:鈴木優(U-NEXT Pirates)

東3局。
親番・村上の手は3巡目にして1シャンテンだった。赤が2枚あってを仕掛けても中打点以上は確保できるし、満貫以上も十分狙える。普通に考えるなら、この手が一番アガリに近いはずだった。

しかし、この局は普通ではなかった。同巡、魚谷の手牌は十分形すぎる1シャンテン。テンパイする牌がの9種、しかもテンパイ時は必ずリャンメン待ちが残る。3巡目にドラ
を切るに値する手だ。

次巡、あっさりとテンパイしてリーチ。

村上は思わず天を仰いだ。

村上の親番はわずか6巡で終わった。トップを引き寄せる一撃は振りかぶることなく幻と消え、残ったのは4100点の失点という現実だった。

もちろん、麻雀がそういうゲームであることを、村上は嫌というほど知っている。知ってはいるが、それを快く受け入れることなど、できるはずがない。

東4局。
3巡目にを重ねた村上は、直後に白鳥から打たれた4枚目の
を鳴かなかった。鳴いても他に残る形が十分ではない以上、手の伸びを見つつ、
は受け駒としてもキープする。こうした構えに、焦りは感じられない。

村上は5巡目に自風のを重ねると、8巡目にはドラの
もトイツにした。アガるならできるだけ高く。そんな村上の思いに、ツモが応えたようにも見える。

この局の先制リーチは白鳥。

村上は宣言牌をチーして応戦。
と
のどちらでもアガれる形で、
は2枚切れの安全牌。
スルーは、こうした高打点での押し返しを見据えてのことだ。

アガリ牌以外はツモ切るしかない白鳥から、も鳴けた。
待ちテンパイ、白鳥の
待ちとは受けがかぶっており、あとは真っ向勝負、待ちはこの時点で、
と
はそれぞれ山に残り1枚、そして共通のアガリ牌
は山に2枚あった。

は白鳥のツモ山にあり、
は裏ドラ表示牌にあって、誰もツモれない牌だった。卓上のコントラストは、あまりにも残酷で、鮮やかだった。

村上は南1局、同点の優とのリーチ対決にも負けた。一人、村上だけがアガれない時間が続く。

南3局、村上の親番。
なんとかするなら、ここが最後のチャンス。

だが、わずか1巡で状況は激変した。3番手・優がドラのをポン。これで、優がアガるときは満貫以上が確定。上家である以上、優がチーできる牌も打ちにくい。村上に、重い枷がつながれた。

を加カンした優がカン
待ちテンパイ。その後、
のシャンポンに待ちが変わる。

続いて魚谷がテンパイ。役なしだが門前でのツモアガリは可能、を鳴いて役をつけるのもOK。
を使った守備も考慮し、ダマテンに構えた。

村上も1シャンテン。ただ、相手に後れを取っていることは分かっている。打ち出していく牌はどれも無スジ。

もちろん、「勝利のために」と言ってアガリを目指すことはできたはずだ。
