一寸先は闇、2局先は…【Mリーグ2022-23観戦記12/6】担当記者:越野智紀

しかし、その次の瀬戸熊選手の【中】切りに場の空気は一変。

相手に対応するのではなく自分の型を大事にする瀬戸熊選手は中途半端な手で相手の仕掛けを舐めたような打牌はしません。
この仕掛けに対してション牌の役牌を切ってくるということは相応の勝負手が入っているということ。

全員が「村に熊が出たぞ!」と慌てだします。

本来なら見せたくなかった【4ソウ】のトイツ落としでしたが、背に腹は変えられんと瀬戸熊選手の現物の【8マン】と入れ替える園田選手。


瀬戸熊選手のション牌の【中】切りからの2枚切れの【東】の手出しを見て、もう熊の襲来が近いと察した仲林選手。
「村のために犠牲になってくれ」と園田選手を前線に押し出す【南】切りを選択します。

これぞ日頃の行いが実った、【南】【中】ホンイツト・イトイのテンパイ。

親の瀬戸熊選手にもピンフイーペーコー・赤ドラ2の弩級のテンパイが入り、押し出された村人と熊の大勝負。

チーム状況を考えても負けられない園田選手

今まで積み重ねたきた仕掛けは…

この一瞬のために。

1局の牌譜を見ただけでは伝わりづらい、園田選手の渾身のハネ満が成就しました。

東3局

またもソーズが集まってきた園田選手。
こういう派手な捨て牌からドラを切っても警報は鳴らずに注意報レベルで収まるのが園田選手の有利なところで

このホンイツ【發】を仕掛けてツモアガリ。
今日は園田選手の日になりそうだなと

この時までは思っていました。(心臓の悪い人のために先に説明しますが、園田選手は3着に終わります)

東4局
しばらくお休みしていた仲林選手にチャンスが訪れました。

リャンメン二つのイーシャンテンの手で、マンズが伸びたら【7ソウ】【8ソウ】を払うつもりで【6マン】を残していましたが【8ピン】を引いて少考。

ここで【6マン】切りを選択しました。
人は点数が無い時には攻撃のことに時間を使うことが多く、この【8ピン】残しも安全度というよりも攻撃的な選択の一つ。
【9ピン】を切っている人が後に【8ピン】を手出しすることにより【6ピン】が手にあると誤解させ、【3ピン】【6ピン】待ちになった時のアガリ率を上げる効果を狙ったものでした。
【8ピン】がリーチ宣言牌になると【6ピン】のシャンポンをケアされてしまうので、次の巡目にでも【8ピン】を切ろうと目論んでいましたが

こんな時に限って【9ソウ】を引いてしまい、トラップが完全に仕上がる前にスイッチが起動した形。
少し照れくさいですが【3ピン】は警戒が薄れているので堂々と【3ピン】【6ピン】待ちでリーチをかけます。

この注文に嵌ったのは、ここから数奇な運命を辿るトップ目の園田選手。

比較的通しやすい無筋気分で切った【3ピン】

まさかの5,200の放銃に。

手牌と捨て牌を一瞥し、未完成のトラップに足を取られたことに気づいた園田選手。
これが第一の翳りでした。

一方で我慢続きの勝又選手は、親番で発生率0.01%と言われている十三不塔というこの世の終わりの配牌を引き、存在感を消したまま東場を終えるも南場から反撃開始。

南1局

園田選手のリーチに【白】、仲林選手の押しに対して【8ソウ】切りと粘り手を崩さなかった結果

タンヤオチートイツ・赤で6,400のアガリに結びつきました。

このアガリで上位を目指せる点数状況まで追いつくと、

南3局

これまで後手後手に回されていた勝又選手に本日初めて先手が取れそうな手が入ります。

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