「しかたない、コツコツやるか…」 仲林圭はいつまでも落ち込まず、今日も積み立てる【Mリーグ2022-23観戦記3/6】担当記者:江崎しんのすけ

同時に、2人が発声した。

倒されたのは村上の手牌だった。
リーチ・一発・【發】の6,400点を出アガる。

仲林の国士無双は、あの今にもアガれそうだった国士無双は、村上の頭ハネの前に泡となって消える。

まさかの展開に、思わず顔を歪めてしまう。

前代未聞の役満頭ハネ

そもそも前巡に滝沢が【9マン】を切ってもおかしくない状況だったし、村上の手も発を引いたから頭ハネになったが、1枚しかいなかった発より5枚生きていた【6マン】【9マン】を引いて【3マン】【發】待ちになる可能性の方が全然高かったはず。

そして仮に滝沢が降りたとしても、【9マン】は山に3枚あったのだから仲林がツモる未来も十分にあり得た。

試合は、小休止を挟み再開。
南3局東城の親番となった。

東城は一打目に【南】を切る。

その【南】に、声がかかった。

「ポン」

声の主は仲林だった。
仲林はトップ目でありながら、親の一打目から果敢に仕掛けていく。

直前に奇跡のような頭ハネを体験し、心穏やかではない状況でも仲林の選択は何も変わらない。

仲林は自身の麻雀の強みを「ミスが少ないところ」だと評している。アクロバティックなアガりは少ないが、その分むやみな失点を減らし、着実なアガリを積み重ねることを得意としている。

麻雀人生で1回あるかないかわからないような不運に苛まれても、仲林の強みは揺らがない。

安牌を一枚も持たず、最速のアガリを目指す。
そんな仲林に展開が味方する。

5巡目、東城が切った【8ピン】を村上がカン【8ピン】でチーする。

ジュンチャン・三色を目指した仕掛け。リーチを得意とする村上にしては珍しい仕掛けに見えるが、ドラが使えるため鳴いても満貫になり、北家の滝沢がピンズの染め手を狙っているため、今後【8ピン】が急所になると読んだか。

このチーによって【5マン】が押し出され、仲林は絶好のカン【5マン】をチーすることができる。

こうなれば十分勝負することができる。
3巡後、カン【2ソウ】を引き【2マン】【5マン】待ちでテンパイ。

直後、東城が三暗刻・ドラ3(一手替わりで四暗刻)の勝負手をテンパイするも

テンパイ打牌となった【赤5マン】を仲林が捉える。
【南】・赤の2,000点を出アガり、トップ目でオーラスを迎える。

南4局4巡目、滝沢が切った【9ピン】を親番の村上がポン。

【3ソウ】【5ソウ】を払い、ピンズの染め手に移行する。
後が無い村上の最後の親番、当然どんな展開になっても撤退はない。

そんな村上に東城のリーチが襲い掛かる!

リーチ・タンヤオ・赤ドラの【5ソウ】【8ソウ】待ち。
ラス目の東城だが、出アガりは村上を捲り3着に、ツモって裏が1枚乗れば2着まで浮上することができる。

そして仲林にもテンパイが入る。
【東】を打って【4ピン】【7ピン】待ちのダマテンに構える。

この【東】を村上がポン。【東】ホンイツのイーシャンテンに。

2巡後、東城がツモ切った【8ピン】を村上がチー。
【1ピン】【4ピン】【2ピン】のテンパイを入れる。

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