その男【暴れ熊】につき――卓上の暴君・瀬戸熊直樹は 最後まで攻めの手を緩めない【Mリーグ2022-23セミファイナル観戦記4/14】担当記者:後藤哲冶

その男【暴れ熊】につき――
卓上の暴君・瀬戸熊直樹
最後まで攻めの手を緩めない

文・後藤哲冶【金曜担当ライター】2023年4月14日

「今年は必ず勝つんで、任せてください」

今年の初め、最強位を獲った直後の瀬戸熊直樹が不敵な笑みを浮かべながらそう話してくれた。

瀬戸熊が所属するTEAM 雷電は去年、大きなマイナスを抱えたままレギュラーシーズンで姿を消している。
大会規約に則り、今年ファイナルに残ることができなければ選手の入れ替えが発生。
この4人で来年のシーズンを迎えることは、できなくなってしまう。

けれど瀬戸熊は入れ替え規定に関わらず、そもそも自身のMリーグでの成績に満足はしていないだろう。
だからこそ、結果を残さなければならない。
ファイナル進出、そしてチーム優勝という結果が何よりも欲しい。

勝負のセミファイナルシーズン、雷電ユニバースの夢がその大きな背中に乗っている。

4月14日 第2試合

東家 二階堂亜樹 (EX風林火山
南家 佐々木寿人 (KONAMI麻雀格闘倶楽部
西家 瀬戸熊直樹 (TEAM 雷電
北家 岡田紗佳  (KADOKAWAサクラナイツ

東1局

瀬戸熊のスタイルは変わらない。

この牌姿から、瀬戸熊は【7ピン】切り。
良形ターツを作るなら【7ピン】は良い牌だが、現状赤牌があるわけでもなく、手牌もタンヤオにまとまりそうではない。
ここは【1ピン】【1ソウ】を引いての123三色や、ドラを引いてのチャンタ系など、勝負手になった時だけ前に出る構え。

慌てない。
一つ息を吐いた瀬戸熊は普段通りの中に闘志が溢れているように見える。

親番の亜樹が、ここから【4ソウ】切りを選択。
【4マン】【7マン】から入った時、生牌の字牌【西】待ちは魅力だが、河を見ると早くも2人がドラの【9ソウ】を切ってきている。
ドラ表示牌の【8ソウ】も悪くないとの判断で、ここは【3ソウ】【8ソウ】を受け入れる形に。

この狙いが見事にハマる。
【8ソウ】を引き入れての【4マン】【7マン】待ちリーチ。
第1試合勝又のトップで首位に立った風林火山としては、優勝に向けてポイントを積み重ねたい所。

しかしここはアガリには結びつかず亜樹の1人テンパイで流局。
静かな立ち上がりとなった。

東1局1本場

先制テンパイは瀬戸熊。
ドラが【7マン】なので、1枚切れであってもここは迷いなくカン【8マン】でリーチ。

岡田が追い付いた。
できればメンゼンで手を作りたかったが、先制リーチを受けては致し方なし。
【6ソウ】のポンで【5ピン】【8ピン】テンパイは3900点だ。
枚数は2対2のめくり合いの行方は――

瀬戸熊が制した。2000、4000のツモアガリで、まずはトップ目へ。

流局を挟み、東2局1本場

瀬戸熊はこの配牌から【東】【發】と役牌を切り出していく。
なんてことのない打牌に見えるが、ドラも赤も無く、【6マン】の暗刻でピンフにもなりにくいこの手は、手なりで行くとリーチのみになってしまいやすい。
なのでペンチャンを外しながら、役牌を重ねてこの手をかわし手に持っていく、なんて構想もできなくはない。

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