【 #神域リーグ2023 第5節第15試合観戦記】風見くくが、零した涙を拭う 嫌いになんて、なってやらない いつか笑うその日まで【文 #後藤哲冶 】

【3マン】を持ってきて。
なんとここで空星はテンパイを外す【1ピン】切り。
裏目の【5ピン】を持ってきても【3マン】【6マン】でリーチが打てること、【3マン】のくっつきで三色が見える事。タンヤオが色濃く見えること。
理由は様々あるが、これは外しが素晴らしい手順だと思う。

「リーチ」

自信満々の声が響いた。

引くは、絶好の【2マン】
これで【4マン】を引こうものなら三色にドラまでついて倍満のテンパイ。
神域リーガーのいったい何人がこの手順を辿れるだろうか。

窮地に立たされたのは、風見だった。
【6ピン】を引いてテンパイだが、待ちは【1ソウ】【3ピン】のシャンポン。更に【1ソウ】は2枚切れていて山に無い。
しかし、ダマテンにしても役が無い。

風見の手が、リーチに伸びて、戻る。
ギリギリの葛藤が、風見に襲い掛かる。
テンパイしたらリーチ。そう教わったけれど、これは本当にリーチしていいのか?

悩んだ結果出した結論は、リーチだった。
何が正しいかなんて、今はわからない。ならば、監督に教わったことを、忠実に守りたい。
何も見えない真っ暗闇の中で、風見が藻掻く。
懸命に腕を振る。

結果は――

素晴らしい手順を辿った、空星の勝ち。
最高目【4マン】をツモって、4000、8000。
空星は今、最高の状態にあるのかもしれない。
考えて出した答えが、最良の結果を生む。だからこそ、自信をもって選択できる。

にじさんじの女王に輝いた空星が、この神域でも頂点に挑もうとしていた。

南1局

親番を迎えた風見が、必死でアガリを取りに行く。

東をポンした風見。ここまではドラの【5ピン】引きを期待して【3ピン】【4ピン】を持っていたが、ここでホンイツへ舵を切る。
【3ピン】切り。
打点を見た良い判断。

しかしこれを徹底的に絞られてしまい、ツモも効かず、手がまるで進まない。
となれば、一旦手の内にできた【9ピン】の対子は残す。
巡目はもうない。せめて、テンパイだけでも――

必死に伸ばした手は、呆気なく振り落とされた。
全員ノーテンで、風見の親が、落ちる。
これでトップはほぼ絶望的に。

続く南2局、再び風見は選択を迫られる。
親の多井からのリーチを受けて、その後すぐテンパイ。
しかし、待ちはまたしても、良くない。

風見は、リーチを選んだ。
風見の姿勢は一貫している。
監督の言葉を信じ、仲間から繋がれたバトンを必死に繋ごうとする。
例えトップは厳しくても、最良の結果を持ち帰るべく。

そんな風見に、不運は容赦なく襲い掛かる。
【6ピン】を掴んでしまっての放銃は、12000。

風見の点数は、またしても。
マイナスに沈んだ。

南3局

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