大物手の香り漂う配牌。
現状は大きく離された4番手だが、一色手に仕上げればあるいは…?
と、ここにツモってきたのが、
4枚目の。
カンをしてドラを増やしたいところだが、ここは打として波風を立てず。
そして次巡にをツモったタイミングで、満を持してカンを宣言。
リンシャンから手に入れたを重ね、のトイツ落としでホンイツへ。
すぐに高目のを引き入れて即リーチ!
瞬きも許されないほどのスピードで展開された川原劇場だったが、幕切れも電光石火だった。
川原の当たり牌を、よりによって一発で掴まされるトップ目の和久津。
身を反らそうにも手がかりがない和久津は、1枚切れのを河に置くと「ロン」の声。
(…いやー、速すぎるでしょ、これ。)
苦笑いを浮かべる和久津だったが、この倍満放銃で和久津は2番手に。
そして川原も失点を挽回出来て東場が終了。
一瀬の大量リードに始まり、和久津の四暗刻、宮内の3連続和了に川原の倍満。
荒れに荒れた叩き合いの結果、親番が1周した頃にはこの差。
ここからご覧になった視聴者にとっては、ここに至るまでの道がどんなに壮絶だったかを想像できないことだろう。
続く南1局。
この局の宮内の姿に感動した。
まずは、5巡目の川原。
345三色への変化、あるいはタンピンへ渡りたいところ。
しかし、場にが1枚切られており、が狙いごろということもあって、ストレートにテンパイを取った。
しかし、和了はおろか、良型変化もせずに長いツモ切りが続く。
動かない手牌に、川原もこの表情。
終盤に差し掛かるところの宮内の手牌をご覧いただきたい。
ドラのをツモったところである。
宮内はトップ目だ。
川原の長いツモ切りにテンパイ気配が感じられなかったことはなかっただろう。
さらに、親の一瀬の不穏な捨て牌。
この局を穏便に済ませる方向へ舵を切ることが、昨今のトレンドだろうと私は思う。
だから、上家の和久津から切られたばかりのを合わせておけば事が足りるはずだ。
しかし、宮内はそれを良しとしなかった。
力みなく場に放たれたのはドラの。
勝利は我が手でつかみ取る。
2年前、瀬戸熊直樹に眼前で最強位の座をさらわれた宮内。
同じ轍は踏まないという覚悟を観たような気がした。
執念にも似た宮内の一打が、場に大きな波を立てた。
その波に足元を揺らしたのは和久津だ。
三色への手替わりを意識したのか、はたまた宮内の熱に当てられたか。
意を決して打ち出したのは、と入れ替えただった。
タンヤオドラ1の2,600点。
点数もさることながら、2局連続で和久津に痛打を浴びせたという事実が大きい。
窮鼠猫を噛むがごとく、必死に食らいつく川原。
そして、役満和了をしてもなお、戦場に身を投じざるを得ない和久津。