ジンクス打ち破る弾丸　渋谷ABEMAS松本吉弘【Mリーグ2023-24観戦記 11/2】担当記者 #後藤哲冶

ジンクス打ち破る弾丸
渋谷ABEMAS松本吉弘

文・後藤哲冶【木曜担当ライター】2023年11月3日

Mリーグには、とあるジンクスがある。
熱心なMリーグファンの方なら耳にタコができるほど聞いているかもしれないが、再度周知させてほしい。

そのジンクスとは、前年度優勝したチームが翌年ファイナルに進めない、というもの。

渋谷ABEMASは、昨年の優勝チームである。
行ってしまえば、このジンクスに当たるのが、渋谷ABEMASなのだ。

スタートこそ躓き、渋谷ABEMASもジンクスには逆らえないのかと思われたが、エース多井を中心にプラスポイントを重ね、今や３位にまでその順位を上げている。

その強さの秘訣は、チーム全員に確かな実力があるが故の、大きくポイントを減らすことが無い鉄壁の布陣。

今日の第２試合の登板は、松本吉弘。
Mリーグ発足時は若手と言われた松本も、今や押しも押されぬ渋谷ABEMASの中心選手。

今日のスコアをプラスで終えることができるか。

11月２日　第２試合

東家　浅見真紀（赤坂ドリブンズ）
南家　二階堂亜樹（EX風林火山）
西家　松本吉弘（渋谷ABEMAS）
北家　高宮まり（KONAMI麻雀格闘倶楽部）

この試合をリードしたのは、東家に座るドリブンズ浅見だった。

東１局の配牌はこれだった。
良い、とはとても言える手牌ではなかったが。

これを上手くチートイツに仕上げ高宮からアガリ。
4800の先制パンチを打つと。

返す刀で4000オールのツモアガリ。
浅見がまずは東場の親で大きな加点に成功。
ドリブンズのデイリーダブルが早くも見えてきた。

対して、松本は東場厳しい展開に見舞われることとなる。

東１局２本場
フリテンになっていたを引き戻しての先制リーチを打つも。

追い付いて現物待ちダマテンを入れていた亜樹にが捕まってしまう。
8000は8600の失点。

東２局では３着目高宮の先制リーチに置いて行かれまいと追っかけリーチを敢行するも

待ちだった高宮がツモアガリ2000、4000の加点。
これで松本は点棒が１万点を割り、ただ一人置いて行かれる格好となってしまう。

麻雀の性質上、こうなると周りはラス目にはずっとラスでいて欲しいため、親番を軽く流されてしまうケースが増える。
必然的に、着順上昇が厳しくなるのが常だ。

しかし松本の表情に、焦りは一切ない。
まだ東場。やれるべきことをやるのみ、と覚悟が決まっているようにすら見える。

浅見が更に加点して迎えた東４局。
松本はを引き入れてイーシャンテン。
だが、ドラもなく、赤もない手だ。

ここは一旦切りとした。
せめてタンヤオはつけて、ピンズ上の伸びを期待した形。

カンを引き入れて、間髪入れずに切り。
この後とりあげる別の局でもそうなのだが、松本は常にどこが入った時次どうするかを決めてあるのが強み。
ここもカンが入った時はカン払いの打ちを決めていたのだろう。そういう打牌速度だった。